アルゼンチンの個人技も、日本のラフプレーも、セネガルのフィジカルもイ・ガンイン(18・バレンシア)の天才性の前に崩れた。
U-20韓国代表MFのイ・ガンインは6月9日(日本時間)、ポーランドで行われたセネガルとのU-20ワールドカップ準々決勝に先発出場し、1ゴール2アシストを記録。36年ぶりとなる韓国の同大会4強進出を導いた。
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イ・ガンインにとってこの日の準々決勝は、一種のテストであった。セネガルは身長180~190cm台後半の長身選手を多数布陣した。173cmのイ・ガンインがフィジカルの強いアフリカ選手たちを相手に、どのようなプレーを見せるのか期待される試合であった。
背が低くて苦しむだろうという予想は、見事に外れた。イ・ガンインは前半、守備的な任務を担って無理に攻撃に参加しなかった。代わりに後半キックオフと同時に、自分が最も好むフリーロールの役割を担当して、活躍し始めた。
イ・ガンインは最前線と2列目、中央、サイドを自由に行き来しながら韓国の攻撃を導いた。守備の負担から解放されたイ・ガンインは、セネガルの守備を崩していった。専売特許であるマルセイユ・ターンで相手選手2~3人を交わしたりもした。身体的な差は大きかったが、簡単にボールを奪われていないプレーも相変わらずだった。
韓国が決めた3得点すべてに関与したという点で、イ・ガンインの意味が大きかった。イ・ガンインは後半17分、審判がVAR後にPKを宣言すると、果敢にボールを持ってペナルティーエリアに歩いていった。そして正確にゴール隅に蹴り込んで、得点に成功した。後半ロスタイムには、イ・ジソルの頭にぴたりと合うCKで同点ゴールをアシストしている。
イ・ガンインの天才性が最も華やかに輝いたシーンは、延長前半6分。カウンターの状況でチョ・ヨンウクが裏のスペースに走りこむと、イ・ガンインは絶妙なタイミングで守備の間を抜けていくスルーパスを送った。チョ・ヨンウクが走る速度と方向を正確に計算した無駄のないパスだった。そのパスをチョ・ヨンウクは落ち着いて右足で決めた。イ・ガンインの最大の利点である創造性が、勝負を決めるゴールを生み出したのだ。
イ・ガンインは延長前半ロスタイム、足に痛みを訴えてベンチに向かった。ピッチを抜けていくイ・ガンインに向かって競技場に集まった1万人の観客は歓声と拍手を送った。大半がポーランド人だったが、国籍に関係なく、優れたプレーを見せてくれた若い選手を激励する姿だった。
敵将であるセネガルの監督も「テクニックが優れた選手が多かった。本当にレベルが高い選手たちであることがわかった。特にイ・ガンインは本当に良いプレーを見せてくれた」と、イ・ガンインの名前を言及して賞賛した。ミックスゾーンでも海外メディアからのインタビュー要請が続いた。他のすべての試合でもそうだったように、イ・ガンインは最も遅く現場を後にすることになった。
イ・ガンインは今大会を通じて、チャ・ボムグン、パク・チソン、ソン・フンミンとつながる韓国スター選手の系譜の新しい主人公になりうるという事実を証明している。