『愛の不時着』をはじめ、『梨泰院クラス』や『サイコだけど大丈夫』などNetflixドラマを通じて再来した韓流ブーム。
日本で一躍人気スターに躍り出た韓国俳優といえば、上記の作品で主演を務めたヒョンビン、パク・ソジュン、キム・スヒョンの3人を挙げる人も多いはずだ。
そんな彼らは、役者としてのフィルモグラフィーを積み重ねるかたわら無類のスポーツ好きであることをご存じだろうか。
たとえば『サイコだけど大丈夫』の主演俳優キム・スヒョン。彼は無類のボウリング好きで知られる。
本人も「趣味はボウリング」と公言するほどで、過去にはファンミーティングでボウリングのデモンストレーションをしたこともあった。
このボウリング好きが高じて、キム・スヒョンは過去に一度だけ本格的にプロボウラーを目指したことがある。去る2016年10月に、韓国プロボウリング協会が主催するプロボウラー選抜大会に出場したのだ。
そこでキム・スヒョンはプロ顔負けの実力を披露。1次実技評価では最高得点271を叩き出すなどし、参加者全114人中31位のアベレージ214.6で2次実技評価へと進出した。最終的には惜しくも2次脱落となってしまったが、その実力が本物であることを証明してみせた。
大会ではこんなエピソードもあった。当時、協会は「ボウリング発展に寄与できる人物が基準記録を通過した場合、特別会員資格を与える」という協会規定に基づき、1次突破後にキム・スヒョンにプロ資格の授与を打診していた。
しかし、キム・スヒョンはこの申し出を辞退。ほかの一般参加者と同じ条件で、正々堂々とプロボウラーに挑戦する意思を示したという。
「演技をするうえでボウリングにたくさん助けられました。ボールやレーンのコンディション、奥に立っているピン。結局、これらをどれだけ信じられるか。投じたボールがどこに行くかわからなくても、とにかく信じて投げますよね。これを演技に入れ替えると一脈相通ずることが多いのです。演技においても、自分がキャラクターにどれだけ没入できるか。そして、それをどれだけ信じられるかだと思います」
これは以前、『BIZENTER』とのインタビューでキム・スヒョンが語った言葉だ。こうしたボウリングでの経験、ボウリングへの真摯な思いが、彼の俳優業にもつながっているということだろう。
『愛の不時着』で人気が爆発したヒョンビンも、若手時代にスポーツと関連したさまざまな逸話を生み出した。
まず、ヒョンビンは「韓国で最も有名で、イケメンな俳優が集うチーム」として知られる芸能人野球団のプレイボーイズで投手を務めていた頃、その驚異の実力を絶賛されたことがある。
『愛の不時着』で敵役チョ・チョルガンを演じたオ・マンソクは当時、「俳優をしていなくても良かったと思う。投球後にはプロ選手みたいにアイシングをしていた。半端じゃない」と絶賛。元プロ野球選手のミュージカル俳優ミン・ウヒョクもヒョンビンを芸能界最高の実力者と評し、「アマチュアレベルではない」と断言していた。
また、芸能人サッカーチームにも所属していたヒョンビン。「端役や助演は守備陣、人気が出たら攻撃陣」と言われていたなかで、当時まだ無名俳優だったヒョンビンがストライカーに抜てきされたことがあったという。
野球でもサッカーでもエース級の役割を任されるあたり、ヒョンビンのスター性というものが感じられる。もし彼が俳優ではなくスポーツの世界に進んでいたら…。そんな想像をしてみるのもまた一興といったところか。
最後にパク・ソジュン。『梨泰院クラス』で主演を務めた彼は、俳優を目指す以前は野球選手になることを夢見ていた。父親がよくテレビでスポーツチャンネルを流していたことから、自然と野球を好きになったという。
だが、その夢は叶わなかった。自分よりも体格が優れる弟が同じ夢を持ったことで父親から反対され、諦めざるを得なくなってしまったのだ。
選手にはなれなかったパク・ソジュンだが、今も野球を好きな気持ちは変わらないようだ。
俳優になってからはヒョンビンも所属するプレイボーイズに加入し、俳優仲間と野球を楽しんでいる。2018年には背番号を34番に変えたことで3月4日が誕生日の女優パク・ミニョンとの熱愛説を報じられたこともあったが、パク・ソジュン本人は「メジャーリーグでエースがよく付ける番号だ」ときっぱり否定。メジャーリーグに影響を受けて背番号を変えるというところにも、野球好きの一面が感じられる。
ちなみに、パク・ソジュンはイングランド・プレミアリーグのトッテナムで活躍するサッカー韓国代表キャプテンのソン・フンミンと親しいことでも知られる。
昨年にはソン・フンミンのサッカー人生を描いたドキュメンタリー番組『ソン・セーショナル-彼を作った時間』に登場。ソン・フンミンが出場したプレミアリーグの試合を現地観戦し、試合後に2人で食事をする様子が描かれた。
「僕が何をしても、僕のそばにいてくれる人。多くのことを学ばせてくれるヒョン(“兄さん”を意味する韓国語)」と慕うソン・フンミン。対するパク・ソジュンも、「勝利したりゴールを決めたり、良いニュースを聞いたときに一日を気分よく始められるように」と、携帯でソン・フンミンを“ソンシャイン(ソン・フンミン+サンシャイン)”と言う名前で登録しているという。
そんなパク・ソジュンは、2021年韓国公開の主演映画『ドリーム』(仮題)で選手生命最大の危機に置かれたサッカー選手役を演じる。
生まれて初めてボールを手に取った代表チームのワールドカップへの挑戦が描かれる今作品のなかで、パク・ソジュンがどんな役柄を見せてくれるか。サッカーや野球を愛する彼ならではの演技に今から期待したい。
前へ
次へ