ガールズグループKARA出身の歌手ク・ハラ(享年28)は、“K-POPシステム”の結晶のようなアーティストだった。
17歳でKARAのメンバーとしてデビューし、韓国内だけでなく、日本などアジア圏でも大きな人気を集めた“韓流スター”であり、圧倒的なビジュアルで“天上アイドル”とも呼ばれた。
そんなク・ハラがこの世を去ったことで、K-POP界と韓国社会に残したメッセージと問題提起が少なくない。
複数の専門家の意見を集めて、ク・ハラが世に問うたテーマをまとめてみた。
ク・ハラは、10月14日に死去した歌手ソルリと親しい間柄だった。ソルリがこの世を去ってから1カ月余りで、親友だったク・ハラまで失い、K-POPアイドルの相次ぐ死に対する懸念の声が高まっている。
最近は、精神的な問題を訴えるアイドルが目に見えて増加している。
例えば、TWICEのミナやSEVENTEENのS.COUPS(エスクプス)が心理的な不安障害を訴えて活動を中断している。世に知られた以上に、うつ病、パニック障害などを患っているアイドルがはるかに多いというのが業界の評価だ。
K-POPアイドルのなかには、精神科の治療やカウンセリングを受ける人も多いが、一般人とは異なる特殊な状況に置かれた芸能人であるだけに、芸能人専門のカウンセリングや治療方法の研究が必要ではないかという指摘が出ている。
ある関係者は「アイドルの場合、ストレスを受ける理由や環境が一般人とは異なっている。所属事務所でいくら管理をしても、限界がある。アイドルに合わせた治療方法やカウンセリングが不足しているように見える」と述べた。
ネット上の悪質なコメントや書き込みが芸能人の精神に及ぼす影響は、決して少なくない。
とある芸能関係者は、「芸能人は政治家と同じように、大衆の“怒りの排泄口”のような役割になっている」と指摘した
そして「問題は、K-POPアイドルは政治家とは異なり、まだ自我や価値観、自尊心などが完成されていない10代でデビューしていることだ。悪質なコメントや容赦のない非難に直面したとき、精神的に大きく動揺せざるを得ない。さらに芸能人にだけ、高いモラルを求める人も少なくない」と分析した。
ク・ハラは今年6月、SNSに「芸能人は誰よりも私生活に気をつけなければならず、家族や友人にもいえない苦痛に苦しんでいる」とし、「皆さんの表現は自由だ。でも悪質なコメントを書き込む前に、私がどんな人間なのか考えてみることはできないでしょうか」と訴えていた。
ソルリの死去後、約1カ月余りでク・ハラまでこの世を去ると、もはや“実名制”などの関連法制度の補完および修正を先送りすることはできないという声が高まっている。
韓国のポータルサイト「Daum」は最近、芸能記事のコメント欄を暫定的に廃止した。悪質コメント投稿者に対する処罰を強化すると同時に、捜査の敷居も下げなければならないという主張も出ている。
K-POPアイドルとしてデビューし、成功することは、針の穴を通すよりも難しい。