小学生や中学生のときから練習生生活を始め、すぐに容赦のない競争、残酷なサバイバルに直面しなければならず、長くは十数年間も終わりが見えない練習に邁進しなければならない。
実力がいくら優れていても、運とタイミングが合わなければデビューすること自体が容易ではない。
さらにデビューに成功することとスターになれるかどうかは、また別の問題だ。デビューに成功したとしても人気を得られなかったアイドルは、二十代中盤で人生の夢を諦めなければならない。運良く人気を得ても、アイドルの“寿命”は他の職業より短い。
ある関係者は「非常に幼い年齢で夢のためにすべてをかけなければならず、成功確率が薄い現在のK-POPシステムが、練習生やアイドルの精神に及ぼす影響を深く考える必要がある。システム自体の酷さ、冷酷さが問題であれば、後々で行うメンタルケアは、根本的な解決策ではないといえる。K-POPシステム自体を真剣に考えなければならない」と述べた。
ク・ハラは2018年、元恋人であるチェ・ジョンボムを脅迫、強要、性暴力犯罪処罰に関する特例法違反などの容疑で告訴した。2018年9月にチェ・ジョンボムとク・ハラが言い争う過程で、ク・ハラが暴行を受け、「性交映像を流布する」と脅迫されたという主張だ。
裁判所は一審で、チェ・ジョンボムの傷害、財物損壊、脅迫、強要などの容疑については有罪としたが、違法撮影の容疑に対しては無罪を言い渡した。
元恋人チェ・ジョンボムがク・ハラの同意なく撮影したことは事実だが、当時、ク・ハラが制止しておらず、秘密裏に撮影したものと見ることは難しいというのが理由だった。また裁判所は「被告人が金品を要求したり、被害者に性的羞恥心を持たせたりしたこともなかった」と述べた。
ク・ハラが脅迫を受けたことは認められたが、彼女は裁判の過程で常に2次被害を受けた。ネット上では犯罪そのものではなく、映像の有無について好奇心を表わすなどセクハラが続いた。
小説家コン・ジヨンは11月26日、自身のSNSに、裁判を行ったオ部長判事を狙って「その映像をなぜ見たのか。どれほど恥ずかしいかを判断するためか? 原告のク・ハラは裁判官の顔をどうやって見ればいいのか。判事は神なのか」と憤りを隠せなかった。
コン・ジヨンはSNSに、オ部長判事が判決文にク・ハラとチェ・ジョンボムが性的関係を持った間だったという内容が込められ、“チェ・ジョンボムによると”というフレーズとともに、性交を持った場所や回数まで含まれていたと指摘した。
コン・ジヨンは「年齢がこれほど進んだ私でも、こんなことをされたら死を考えるだろう。これは一体、どんな種類の地獄のような暴力のか」と述べた。
韓国社会全体のデートDVと性的暴行の悩みを、ク・ハラの裁判が如実に表わしたという指摘も出ている。
ク・ハラがこの世を去ったことで、K-POP界と韓国社会に残したメッセージと問題提起は、いずれも看過できるものではない。今こそ真剣に考え、実践していく段階ではないだろうか。