朝鮮王朝の王は、唯一無二の絶対権力者であった。どれだけの力があったのか。
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現代的な感覚でいうと、総理大臣、外務大臣、財務大臣、警察庁長官、最高裁長官を兼ねるほどの存在だった。
王は自ら政治と経済の権限を一手に握り、外交を仕切り、法律を作り、税金を徴収し、官僚の人事権を掌握した。そればかりではない。民衆統治の最終決定者でもあったので、重大な罪を犯した者に死罪を言い渡したり、直訴に及んできた地方の人々の声に耳を傾けたりした。
驚くべきことに、王がこなす仕事は1万種類もあったという。
もちろん、1人でなんでもこなすわけではないが、並外れた精神力と体力がないと務まらない地位だった。
朝鮮王朝時代に王は27人いたが、平均寿命は46歳であった。人生50年の時代でも、平均して50歳まで生きていない。わりと短命だったのである。
王の毎日の実務がどれほど大変だったのか。日々の営みを見てみよう。
起床時間は午前5時頃。儒教の国らしく、まずは母や祖母といった年長の人たちに挨拶をする。
それから朝の学習を行う。儒教の経書を読み、高等官僚たちと学問討論をする。その後に朝会に臨む。大臣や担当部署の者から報告を受けて、適切な指示を出す。
午後になると、各地の現状の把握に務めた。これでもまだ1日の務めは終わらない。
夕方には再び学習に没頭し、文化と教養の修得に努めた。自由時間は、夕食後に少しあるだけだった。
朝鮮半島を統治する最高権力者としての王。これほどの重労働が毎日続くのだから、病に倒れる人も少なくなかった。
それゆえに、平均寿命が46歳だったのだ。
(文=康 熙奉/カン・ヒボン)
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