2021年にも韓国ドラマ界では「タイムスリップ」の人気が高い。
いつの間にか韓国ドラマの定番素材となったタイムスリップ。かつてはファンタジー・ロマンスで主に用いられたが、最近はスリラーと出会って緊張感と想定外の展開、どんでん返しなどを与える素材として業界で愛されている。
2月には、3本のタイムスリップドラマが放送開始となる。
まず、JTBCの10周年特別ドラマ『シーシュポス:The Myth』(日本のNetflixで配信予定)だ。正体を隠して生きている存在を明らかにしようとする天才工学者ハン・テスル(演者チョ・スンウ)と、彼のために遠くて険しい道を遡ってきた“救援者”カン・ソヘ(演者パク・シネ)の旅程を描いたファンタジー・ミステリードラマである。“信じて見る俳優”チョ・スンウとパク・シネによる時空を超えたストーリーで良作を予感させている。
OCN初の土・日曜オリジナルシリーズ『タイムズ』(原題)もベールを脱ぐ。
5年前の過去を生きる記者イ・ジヌ(演者イ・ソジン)と電話でつながったソ・ジョンイン(演者イ・ジュヨン)が、大統領である父親ソ・ギテ(演者キム・ヨンチョル)の死を止め、危険な真実と向き合う“タイムワープ”政治ミステリードラマだ。
同じくタイムスリップの人気ドラマ『愛の迷宮~トンネル~』『ライフ・オン・マーズ』を作ったOCNが、今度は政治ミステリーというジャンルを足した。さらにイ・ソジン、イ・ジュヨン、キム・ヨンチョル、ムン・ジョンヒらの豪華ラインナップで“ジャンルもの名家”の威厳を証明するか、期待が集まっている。
ただ、似たり寄ったりのタイムスリップ作品が相次いだため、目が肥えた視聴者の期待に応えるのは容易ではない。斬新な設定はもちろん、ストーリーの説得力やタイムスリップという設定に対する新鮮さがないよりも重要だ。
とあるテレビ関係者はタイムスリップ作品が相次ぐ理由についてこう述べる。
「想像力を呼び起こすファンタジー効果のためだ。時間を自由自在に操りたい人々の心理も反映されている。ありきたりだと感じるかもしれないが、犯罪、政治など社会構造的な問題をタイムスリップで描いてバリエーションを加えて視聴者を関心を集めている。これからも斬新なアイデアが加わったタイムスリップ作品は登場し続けるはずだ」
もちろん、癒し系ドラマで感動と笑いを増幅させる素材としてもタイムスリップが使われる。
2月3日に放送開始されるKBS新ドラマ『こんにちは?私だよ!』(日本のNetflixで配信予定)は、なぜか20年先の未来に来た17歳の主人公が、“現在の私”に会ってからの出来事を描く。主演キャストはチェ・ガンヒ、キム・ヨングァン、イ・レ、ウム・ムンソクだ。
最近放送終了したJTBCドラマ『18アゲイン』(原題)がありきたりなタイムスリップ設定にも関わらず、過去に戻って夫婦間の和解を描いて幅広い年齢層に支持されただけに、『こんにちは?私だよ!』も陳腐なタイムスリップをどのように“共感とヒーリング”へと持ち込むか気になるところだ。
過去と現在、未来を行き来する時間旅行は依然として魅力的だが、どんな素材よりも緻密で几帳面な構成を前提とするため、成功を保証するのも難しい。
とある脚本家は「タイムスリップはドラマチックな効果を与えながら話を多様に展開するための装置としては最高」とし、「過去に一度ドラマ業界でブームだったタイムスリップが再流行しているのは、もしかしたら厳しい現実から逃げ出したい現代人たちの欲望や願いが反映されたのかもしれない」と話した。
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