「お先真っ暗です」
韓国のとあるイベント関係者が、深いため息と共に現状を吐露した。新型コロナウイルスの感染が再拡大を受け、復活の兆しが見えていた公演・音楽界に再び「赤信号」が点灯したのだ。
首都圏の教会を中心に新型コロナの集団感染が急激に拡大すると、韓国政府は8月16日から首都圏防疫のレベルを「ソーシャルディスタンス」レベル2に引き上げた。室内で50人以上、屋外で10人以上が集まる私・公的の集まりやイベントが禁止されたことで、イベント業界が大きな打撃を受けている。
特に、イベント再開の象徴的な役割が期待された人気番組『明日はミスター・トロット』のオフラインコンサートが、4度目の延期に加えてまたも無期限延期になったことは大きい。
『明日はミスター・トロット』コンサートの行方を見守りながら再開のタイミングを見計らっていた中・小規模のコンサートも、キャンセルや延期は避けられない見込みだ。先日、今年度の開催中止を決めた「Seoul Jazz Festival」をはじめ、下半期に開催を予定している多数のフェスティバルが少なからず影響を受けそうだ。
音楽界の被害も増える一方だ。社団法人韓国音楽レーベル産業協会が公開した2月~7月末までの音楽産業界の被害推算結果、539件の公演がキャンセルされ、約1212億6600万ウォンの損害額が発生した。事実上の休業状態が続くなか、被害に対する具体的な補償対策もなく、今後の展望も不透明なため、危機感が高まっている。
一部では、「ソーシャルディスタンスがレベル3まで引き上げられたら、イベント業界は事実上の全滅」とも言われている。チョン・セギュン国務総理は8月19日、コロナ19対応中央災難安全対策本部会議の冒頭発言で「まだレベル3の要件に該当しない」と明かしたが、何も断定できない状況だ。レベル3になれば、10人以上が集まる集会やイベントが禁止されるため、事実上すべての公演が不可能となる。
とあるK-POP関係者は言う。
「8月には公演に対する期待感があったが、今回の再拡大によってスタート戻ったみたいだ。これからは長期的な観点で対策を練るため、大衆文化および音楽界の現実と資料を集め、対策を講じなければいけない」
他の関係者も「誰もが納得できる基準が必要だ。大衆歌謡だから全面禁止といった行政は理解しがたい」と話した。
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