苦戦の末の勝利だった。それでも国際大会初戦の難しさと、さまざまな困難を乗り越えて得た“勝ち点3”の持つ意味は大きい。
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キム・ハクボム監督率いるU-23韓国代表は、タイで開幕したアジアサッカー連盟(AFC)U-23選手権のグループC初戦を1月10日(日本時間)に迎え、中国相手に後半ロスタイムの決勝ゴールで辛勝した。
勝ち点3を得た韓国は、同グループのウズベキスタンとイランがドローに終わったことで、初戦を終えてグループ首位に立った。
韓国はカウンター戦術を敷く中国に苦戦を強いられた。前半はボール支配率73%と圧倒しながら、枠内シュート数は3本にとどまった。
ワントップの長身オ・セフンを中心に、オム・ウォンサン、キム・デウォン、イ・ドンギョンら2列目の選手たちがスピードと個人技で中国のゴールをこじ開けようとしたが、思うようにいかなかった。
サイド突破が上手くいかず、中央でのワンツーパスで得点チャンスを演出しながら、決定機で決めきれない。逆に中国の高速カウンターに遭い、韓国の守備陣は肝を冷やした。
中国の守備に手を焼いた韓国だったが、後半に投入されたキム・ジンギュとイ・ドンジュンがチームを救った。後半ロスタイム、キム・ジンギュがハーフウェイラインからロングパスを放ると、イ・ドンジュンがこれに反応。ペナルティエリア内で相手DFを交わし、左足でボールをゴールに流し込んだ。
この試合、サイドアタックを封鎖された韓国は、中盤で多彩な攻撃を生み出すプレーメイカーの不在を実感させられた。キム・ジンギュ投入以降は攻撃にテンポが生まれたものの、イランやウズベキスタンなど優勝候補相手にはより精密なパスワークが求められる。
さまざまな課題は見つかったが、国際大会の初戦は心理的にも負担が大きい。特に前半からこう着した展開となったこともあり、韓国の選手は肉体的、精神的に激しく消耗した。それでも終盤まで集中を切らさず、最後は勝利を手にしてみせた。
U-23韓国代表には大会前から困難が待ち受けていた。
2019年9月に済州島で予定されていたシリアとの親善試合はシリア選手団の旅券問題で中止となり、12月31日に予定されていたサウジアラビアとの親善試合も、グラウンドの都合で急きょ中止となった。
2020東京五輪出場がかかった今大会を前に、なるべく多くの実戦経験でチーム力を高めたかったキム監督の計画は、思い通りに進まなかった。
大会直前にオーストラリアと親善試合(1-1でドロー)を行ったものの、それでも実戦で連携を試す時間は足りずにいた。仮に大会初戦で敗れてしまっていたなら、選手たちにのしかかる心理的不安はより大きくなっていただろう。
また、キム監督と韓国サッカー協会のホン・ミョンボ専務は欧州組の招集を実現すべく各地を回ったが、所属チームの反対にあった。このためペク・スンホ(ダルムシュタット)やイ・ガンイン(バレンシア)など2列目の主力級選手の招集に失敗した。
不完全な状況で開幕したU-23選手権だったが、韓国はなんとか一丸となって初戦勝利を手にすることができた。
韓国は1月12日、グループ第2戦でイランと対戦する。
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