健康のために職を離れたが、心だけは選手たちと一緒だ。
すい臓がんで闘病中のユ・サンチョル監督の言葉だ。
仁川ユナイテッドは1月6日の仕事始め式として、ボランティア活動の一環として地域住民に練炭を配る行事を開き、2020年シーズンをスタートさせた。
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この席には1月2日付で治療に専念するために辞意を表明したユ・サンチョル前監督の空席が大きく見えた。イ・チョンス戦力強化室長が中心となって、イム・ジュンヨン首席コーチをはじめコーチ陣と選手団を率いたが、船長がいないため、選手団の顔色は明るくなかった。
しかし、選手たちの顔は昼食の席で明るくなった。ユ監督がボランティア活動を終えた選手団とファンたちがいる食堂を訪れたからだ。
ユ前監督は、いつものように明るい笑顔で挨拶した。選手団もユ監督の訪問に驚きと嬉しさを隠せなかった。ユ前監督は選手たちの気持ちを察したかのように、食事後に選手団とミーティングの場を設けた。
ユ前監督の仁川への心配は相変わらずだった。
「今年は、昨年のように降格争いで苦しまぬように良い成績で終えたらいいな」と、毎年Kリーグ1残留に苦労しているチームのことを心配した。
特に選手たちへの心配を惜しまなかった。ユ前監督は「(仁川の選手たちは)アマチュアではないので、プロとしての自負心を持たなければならない。サッカーを愛してほしい。これでなければだめだという考えではなく、自分が好きで始めた(サッカーを)大切にし、愛してほしい」と助言した。
治療に専念するためにチームを去ることになった名残惜しさも伝えた。
「もっと一緒にやりたいのに残念だ。早く治療してまたこの場に戻り、会えるようにする。体は一緒にいられなくても、心は君たちと一緒にするだろう。いつでもつらいことがあれば連絡してほしい」
と同時に、ユ前監督は指導者として、選手団の心を引き締めた。
「冷静でなければならない。明日から(キャンプが)始まったら、一からやり直さなければならないと考えるべきだ。どのようにシーズンを送るかも覚悟しなければならない」
最後に笑みを浮かべながら、選手たち一人ひとりと握手したユ前監督。その真心はきっと仁川の選手団に伝わったことだろう。
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