サッカー韓国代表の主将を務めるソン・フンミン(27・トッテナム)の平壌(ピョンヤン)行きが決まった。
アジアを代表して世界的な活躍を見せる彼が、北朝鮮サッカーファンを虜にできるか関心が集まっている。
【関連】韓国にとっては“地獄の平壌遠征”…北朝鮮は10年以上ホームで負けなし
パウロ・ベント監督は9月30日、10月の2022年カタールW杯アジア2次予選2試合に招集するメンバー25人を発表した。メンバーにはソン・フンミンをはじめ、イ・ガンイン(バレンシア)やファン・ウィジョ(ボルドー)など欧州でプレーする主力も全員含まれている。
韓国代表は、まず10月10日に京畿道・華城でスリランカ代表と対戦し、10月15日には平壌の金日成競技場で北朝鮮代表との“南北戦”を行う予定だ。
北朝鮮戦では、ソン・フンミンと北朝鮮代表FWハン・グァンソン(ユベントス)の“南北ストライカー対決”にも注目が集まる。クリスティアーノ・ロナウド(ユベントス)を目標の選手として掲げるソン・フンミンと、“北朝鮮のロナウド”とも呼ばれるハン・グァンソンは両チームのエースという共通点を持つ。
さらにソン・フンミンとハン・グァンソンは、10代ですでに欧州の舞台へ進出していることなど、共通点が多い。
ハン・グァンソンは21歳ながら、すでに北朝鮮代表のエースという評価を受けている。2017年にイタリアのカリアリに加入してセリエAデビューを果たすと、北朝鮮サッカー史上初の4大リーグ得点者となった。その後は2部リーグで着実に経験を重ね、今夏にロナウドが所属するユベントスへの期限付き移籍が決定。一躍スポットライトを浴びた。
一方のソン・フンミンは、世代別代表を含め111試合の代表歴を持っているものの、北朝鮮への遠征は今回が初となる。男子サッカー代表としても、1990年の統一サッカー大会以来29年ぶりの平壌訪問だ。
そんななか、北朝鮮におけるソン・フンミンの認知度がどれほどなのか、興味深いところだ。
サッカーは世界的に見てもポピュラーなスポーツであり、ボール1つあれば複数人で遊べるという良さがある。特にアジア諸国はスタープレイヤーがそろう欧州サッカーへの関心が高く、北朝鮮も例外ではない。
約120ものサッカーチームが存在するといわれる北朝鮮は、サッカー人気が高いことで知られる。最近ではC.ロナウドを主人公とした、北朝鮮オリジナルのモバイルゲームが若年層の間で人気を博しているというニュースが、英国『BBC』によって報じられた。
北朝鮮唯一のチャンネルである『朝鮮中央テレビ』では、UEFAチャンピオンズリーグの他にスコットランドやオランダなどのリーグハイライト中継も放映している。こういった点から、イングランド・プレミアリーグでもトッププレイヤーであるソン・フンミンのことも、ある程度認知されていると思われる。
ソン・フンミンは世界最高の舞台と呼ばれるプレミアリーグで頭角を現してから、全世界どこへ行ってもサッカーファンの熱い歓待を受けてきた。
2016年10月のイラン遠征では、トレーニング後に地元の青少年たちに囲まれサインを求められたほどだ。今年9月のトルクメニスタン遠征でも前日練習に500人ものファンが駆け付け、ソン・フンミンの名前を連呼しサインをもらおうと殺到した。
ソン・フンミンは韓国を代表する人物の1人であり、韓国自体は知らずともソン・フンミンは知っているというほど、世界的に認知度が高い。
北朝鮮のサッカーファンがソン・フンミンのプレーにどんな反応を示すのかは、未知数だ。サインや写真撮影を求められる可能性も低いだろう。それでもソン・フンミンの活躍を直接その目で見られるだけで、サッカーファンにとって良い機会となることは間違いない。
前へ
次へ