“フィギュア女王”キム・ヨナが歩いた大記録の道を、イ・ヘイン(14・ハンガン中学)も歩もうとしている。
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9月25~28日、クロアチアのザグレブで2019-2020 ISUジュニアグランプリシリーズ第6戦が行われた。
イ・ヘインはフリー演技で技術点(TES)71.95点、芸術点(PCS)62.16点の合わせて134.11点を獲得し、ショートプログラム(69.29点)との合計203.40点で金メダルに輝いた。
9月7日にラトビアのリガで行われた第3戦でも197.63点で優勝したイ・ヘインは、12月にイタリア・トリノで行われるジュニアGPファイナルへの進出を決めた。
この朗報に、韓国フィギュア界が歓喜に沸いた。キム・ヨナが2014年ソチ五輪で引退してから、“第2のキム・ヨナ”と呼ばれる若手選手は何人も登場したが、誰もそのタイトルを独占するものはいなかった。
しかしイ・ヘインは2005年のキム・ヨナ以来、14年ぶりに韓国人選手歴代2人目となるジュニアGP2大会連続の優勝者となった。さらにジュニアGPファイナル進出やISU公認の200点突破など、キム・ヨナにはじまった韓国女子フィギュアの道を着実に歩み、キム・ヨナに続く新たな“フィギュアの女王”に当確した。
あとはイ・ヘインが最後の関門で、無事に戴冠式を終えることができるかという段階だ。
イ・ヘインのフリープログラム『ファイアーダンス』に組み込まれた11個の演技要素には、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)が含まれていない。
近年はロシアを中心に高難度ジャンプの潮流が来ており、本番でも4回転ジャンプを披露する女子選手が増えてきている。だがイ・ヘインは無理して高難度な技術に挑戦せず、完成度に焦点を合わせているという。
これは、現在イ・ヘインを指導するチ・ヒョンジョンコーチの信念でもある。
2004年にキム・ヨナをジュニアGP初優勝に導いた経験を持つチコーチは、「オフシーズンにはトリプルアクセルも練習しているが、まだ完璧な回転ではない。怪我のリスクもあるため、表現力を高めることに重点を置いている」としている。
ここで重要となるのが選手自身のメンタルだ。自身が踊るプログラム内で最大限の点数を稼がなければならないなか、高難度のジャンプを組み込む他の選手に比べてミスをした際のリカバリーが難しい。
しかしイ・ヘインは、メンタル面でもキム・ヨナと似た長所を持つ。
SBSパン・サンア解説委員は「メンタルが強く、とても意志がしっかりした選手。スケートリンクを画用紙としてとらえ、自身が描くイメージを上手に表現している。緊張して滑りに誤差が生じることもなく、水が流れるかのようなスケーティングを見せる。まだジュニアなのに、シニア選手のように感じる」と称賛した。
メンタルの強さは、イ・ヘインが優勝した2大会を見れば良くわかる。
第3戦ラトビア大会ではショートプログラムを3位で終えるも、フリーで完璧な演技を披露して逆転優勝した。第6戦ではショート、フリーともにすべてのジャンプを安定的に行い、スピンでもすべて加算点を得ることができた。
国際舞台において、韓国フィギュア界が新しいルネッサンスを迎えたようだ。