“セーブ王”オ・スンファンが6年ぶりに古巣サムスン・ライオンズで、韓国プロ野球にカムバックする。
日本プロ野球(NPB)とメジャーリーグ(MLB)でキャリアを積んだオ・スンファンは、本人の望み通り、選手生活をサムスンで締めくくるための手順を終えた。
【独占インタビュー】「韓国プロ野球に復帰する」オ・スンファンの真意
コロラド・ロッキーズから戦力外通告を受けたオ・スンファンは、ウェーバー公示を経てフリーエージェント(FA)の資格を得た。オ・スンファンの動向を注視していたサムスンはMLB事務局に身分照会要請をした後、オ・スンファンとの接触に乗り出し、すぐに交渉を終えた。
サムスンはオ・スンファンと7月31日に初めて連絡を交わした後、翌日8月1日に会って、本格的な交渉のテーブルを設けた。そして8月6日、オ・スンファンの入団を発表した。
サムスンのホン・ジュンハク団長は、「8月1日にオ・スンファンのエージェントであるキム・ドンウク代表と会い、大きな枠組みでオ・スンファンのサムスン復帰に合意した」と、交渉過程を明らかにした。サムスン復帰という大前提で合意したため、詳細な内容はスムーズに進行したというのが双方の説明だ。
ホン団長は「年俸など詳細を交渉する過程でも、困難はまったくなかった」と付け加えた。
オ・スンファンの復帰交渉を終えたサムスンは、すぐに韓国野球委員会(KBO)の選手登録を終えた。オ・スンファンが海外賭博疑惑でKBOから受けた72試合の出場停止処分は、KBO選手登録時点から適用される。サムスンは8月6日現在、42試合を残している。オ・スンファンは今シーズン、たった1試合もプレーすることができない。
また、オ・スンファンは、右肘骨片除去手術を控えている。8月中に手術を受けて、リハビリを開始する。
オ・スンファンが出場停止処分の試合数を満たし、実際のマウンドに立つ時期は、早ければ2020年4月末から5月初めになる見通しだ。それに先立ってオ・スンファンは来る8月10日、KIAタイガースとのホームゲームが開催される大邱サムスン・ライオンズ・パークを訪れ、ファンに復帰の挨拶をする予定だ。
発表された契約内容のなかで最も関心を集めたのは、年俸だろう。オ・スンファンは規約上、複数年契約が不可能な状況であるため、今シーズン限りの契約を締結した。
サムスンは「2019年の年俸は6億ウォン(約6000万円)に決定した。ただ残りのシーズンは出場停止に起因する未支給分が発生するため、手取りは約50%のレベルに減ることになる」と述べた。したがってオ・スンファンが今年実際に手にする金額は3億ウォン(約3000万円)になる見通しだ。
しかし厳密にいえば、サムスンが発表した金額は本当の意味での“年俸”ではない。1年間で手にする給与総額ではなく、8月から11月までの約4カ月間に受けとる給与の総額だからだ。
キム代表は「年俸とは、2月から11月まで支給される金額を意味する。しかしオ・スンファンは登録時点の8月から11月までの給与として受け取る。その4カ月間も出場停止処分を消化する8月と9月は、規約上、給与を受け取れない。シーズン終了後の10月と11月のみの給与だ。サムスンが手取りを50%ほどと発表したことも、4カ月のうち半分だけ給与を受けることができるからだ」と説明した。
つまりサムスンが発表した6億ウォンは“年俸”ではなく、“残りの期間の給与”という表現を使うほうが適切というのが、キム代表の説明だ。
仮にそうであれば、サムスンが実際の支給額ではなく、年俸として6億ウォンと発表した理由は何だろうか。
キム代表は「一連の事件後、KBOでは出入りする金額を徹底的に見ている。オ・スンファンが受け取る金額が正確にいくらなのかが決まっていなかったため、6億ウォンという正確な金額を設定して、懲戒消化で差し引かれた後の金額を受領すると発表した」と述べた。
ホン団長も「正確な受領額が決まっていないとKBOに報告することができないので、6億ウォンと提示した」と明らかにした。
そもそもサムスンとオ・スンファン側が合意した「年俸6億ウォン」は、適正な金額なのだろうか。