春季キャンプが始まってもいないのに、すでに今シーズン後の話が盛り上がりを見せている。昨年末、帰国の途で「韓国に復帰したいと思う」と爆弾発言をした、オ・スンファン(呉昇桓/コロラド・ロッキーズ)の今後についてだ。
オ・スンファンは1月29日の出国インタビューで、「シーズン後の進退については自分で選択できない問題もあるので、すべての可能性を開いている」と話した。
安定した生活を捨てて海外進出を宣言したときと同じく、誰もが憧れるビッグリーグで成功街道を走りながら突然、韓国復帰を宣言した今回も、彼の武器である直球のようによどみはなかった。
あれこれ説明もなかった。だから直接聞いてみた。出国を翌日に控えたオ・スンファンに、エージェント社のオフィスで会った。そこで質問をぶつけてみた。
突然、韓国リーグ復帰を宣言した理由として、オ・スンファンは「海外生活を通じて感じたことが多かった。後輩たちに共有して、韓国野球のシステムをアップグレードさせたいという欲が出た。そのためには実力があるうちに復帰して、結果を示さなければならない。あれこれ複合的な考えから出た言葉だ」と話した。
彼はマウンド上でいつも無表情だ。試合が思うようにいかないときは耳が赤くなるので怒っていることがわかるが、なかなか感情を表に出さない。だから別名も“石仏”だ。普段、自分の考えを詳しく説明しない性格なので、「韓国野球のシステムのアップグレード」という言葉が彼の口から飛び出したことが、とても新鮮だった。
5年間の海外生活がオ・スンファンにどのような影響を与えたか。それを知るためには、初めて彼が海外進出を決心したときにまで話を戻さなければならない。
オ・スンファンはサムスン・ライオンズで9シーズンを過ごし、444試合501.1イニングを消化しながら、28勝13敗277セーブ、防御率1.69とリーグを制圧した。フリーエージェント(FA)の資格を得ると海外進出を宣言し、メジャーリーグとも調整したが、日本の阪神タイガースに入団した。まず、その背景が気になった。
彼が安定を求めず、海外進出を選んだ理由は“お金”だった。オ・スンファンは、「プロ選手は年俸が評価基準だ。より多くの年俸をもらいたいのが当然だ。夢のために韓国より少ない年俸で海外に進出する選手なら、“挑戦”で正しい。ただ私は最初から堂々と待遇受け、それに見合った実力を見せたいと思っていた」と話した。
韓国に残っていれば、年俸の歴代最高額更新が有力だったが、それ以上を求めた結果が海外進出だった。
オ・スンファンは、日本とアメリカは韓国よりレベルの高いリーグとされているが、競争に勝つ自信があったという。阪神では2年間9億円規模だったので、韓国で稼ぐ4年100億ウォン(約10億円)より2倍ほど多い年俸となった。その後、メジャーリーグのセントルイス・カージナルスに入団したときは、2年最大1100万ドル(約12億円)だった。
より大きな舞台で競争力を発揮することが自らの価値を高める。その哲学にのっとった行動だ。
今回、韓国復帰を宣言した背景も、「年俸=選手の価値」というオ・スンファンの哲学が変わっていないことを表している。