オ・スンファン(コロラド・ロッキーズ)の韓国プロ野球への復帰は結局のところ、彼自身の意志にかかっている。
7月17日、アメリカ現地でオ・スンファンの肘手術のニュースが伝えられた。残りのシーズン、登板できる可能性は低い。事実上、今シーズンからの離脱だ。オ・スンファンは身の回りを整理して帰国し、韓国で手術を受ける予定となっている。
オ・スンファンとロッキーズの契約は、今年までだ。オ・スンファンが残りのシーズンで登板できるか不透明になったことで、自然と注目はオ・スンファンの今後に向かう。
しかもオ・スンファンは昨年、取材陣の前で「韓国プロ野球に復帰したい」という“爆弾発言”をしていた。それだけに今回の手術のニュースで、オ・スンファンのサムスン・ライオンズ復帰が可視化されるのではないかという推測が出ている。
【独占インタビュー】元阪神オ・スンファン、“爆弾発言”の真意とは
オ・スンファン側とサムスンは、今後について論じるのは時期尚早という立場だ。そもそもオ・スンファンは今もロッキーズに所属しているからだ。
特にサムスンは、昨年オ・スンファンの復帰問題が浮上したときから、オ・スンファンとロッキーズの契約関係が整理され、オ・スンファン側から移籍に関する提案があってこそ検討するという立場を堅持している。所属チームとの契約が残っている状況で、下手に今後について論じると、問題が複雑になることがある。サムスンとしては、従来の対応が適切だろう。
結局のところ、オ・スンファンの意志が最も重要だ。
まずロッキーズとの年俸問題が絡んでくる。オ・スンファンは今年、ロッキーズで年俸250万ドル(約2億7000万円)を受けている。
オ・スンファンが残りの年俸をあきらめながら、サムスン復帰への意志を対外的に表現すれば、サムスンへの復帰交渉は急速に進むことになる。昨シーズン、中継ぎや抑え投手として活躍したオ・スンファンを獲得したロッキーズだが、今回は手放す可能性が高い。オ・スンファンの価値が昨シーズンほどではないからだ。
サムスン復帰時の年俸額も重要事項だろう。
ある球界関係者は、「最終的にはオ・スンファンのサムスン復帰は、年俸にかかっているのではないか」と予想した。サムスンはここ数年間、緊縮財政路線を維持している。市場に君臨していた以前とは、支出が変わった。昨シーズン終了後には果敢に選手たちを整理して、選手団の規模を大幅に減らした。
サムスンが定めた基準よりも、オ・スンファンが高い年俸を求めた場合、交渉は難航するしかない。
それでもオ・スンファンの復帰で、サムスンが得るものは多い。
30代後半だが、オ・スンファンの実力は韓国プロ野球で十分に通じる可能性がある。若返りが進むサムスンの投手陣にとって、日米韓のプロ野球をすべて経験したオ・スンファンの存在は、成長の大きな助けになる。
サムスンで数々の栄光を成し遂げ、多くの拍手で見送られて海外進出したオ・スンファンの復帰が、興行に役立つのも当然だろう。すぐにサムスンに復帰すれば、肘の手術後にリハビリしながら、“72試合の出場停止処分”を消化することもできる。
サムスンにとってオ・スンファンは、試合に出なくてもさまざまな面で使い道が多いわけだ。
昨年の“爆弾発言”を通じて、オ・スンファンの強い韓国復帰の意志を確認することができた。今年初め、本紙『スポーツソウル』と行ったインタビューで彼は、投げられるうちに韓国に帰って、自分の価値を再び証明したいという思いを明らかにした。
今回、予期せぬ手術を受けることになったが、オ・スンファンが韓国プロ野球界に刻んだ“ファイナルボス”の威容は、今も残っている。海外で経験した会話の重要性を後輩たちに伝えることも、オ・スンファンのひとつの思いだ。
韓国復帰が再び話題になるなかで、オ・スンファンはどんな意志を見せるだろうか。
前へ
次へ