オールスター戦を成功裏に終えたリュ・ヒョンジン(ロサンゼルス・ドジャース)だが、シーズン下半期の初登板から重大なミッションを迎える。
上半期だけで10勝(2敗)をあげてナショナルリーグ最多勝首位タイ、防御率は1.73でメジャーリーグ全体の1位となっているリュ・ヒョンジンの下半期最初の相手は、ボストン・レッドソックスが有力だ。
ドジャースは7月13日(日本時間)から米マサチューセッツ州フェンウェイ・パークで開催されるレッドソックスとの3連戦で、シーズン下半期に突入する。
ドジャースは上半期、ウォーカー・ビューラー、リュ・ヒョンジン、クレイトン・カーショウ、前田健太、ロス・ストリップリングという順で先発ローテを組んでいた。7月10日のオールスター戦ではリュ・ヒョンジン、クレイトン・カーショウ、ウォーカー・ビューラーが1イニングずつ消化した。
オールスター戦の投球をブルペン投球だととらえれば、3人のうちの1人が7月13日からマウンドに上がることになる。もしオールスターに選ばれていない前田健太が13日の第1戦で先発するとなったら、リュ・ヒョンジンは十分に休息を取って、3連戦のうち1試合に登板すると思われる。
マックス・シャーザー(ワシントン・ナショナルズ)とナショナルリーグのサイ・ヤング賞を競争するリュ・ヒョンジンにとって、下半期最初の登板結果は非常に重要だ。
その過程は、まさに一難去ってまた一難といえる。
上半期も負傷のリスクを勝ち抜き、“クアーズ・フィールド悪夢”(6月29日のコロラド・ロッキーズ戦、4イニング7失点)を乗り越えて二桁の勝ち星をあげたリュ・ヒョンジンにとって、レッドソックスは悪縁のあるチームだ。2013年8月25日のレッドソックス戦では、1回に4失点するなど、5イニング4失点で敗戦投手になった。
何よりも昨年のフェンウェイ・パーク(レッドソックスの本拠地)の苦々しい記憶は忘れることができない。
韓国人投手として初となるワールドシリーズ先発登板を果たしたものの、チームが2-1でリードした5回、2死満塁でマウンドを降りた。その後ライアン・マドソンが3人のランナーをすべてホームに返しながら、4.2イニングで4失点となり、再び敗戦投手となった。雪辱を期したリュ・ヒョンジンだったが、ドジャースは5試合で1勝4敗となり、再戦の機会を逃した。
だが今シーズンのリュ・ヒョンジンは、“あの時のリュ・ヒョンジン”ではない。
大きな武器であるチェンジアップだけでなく、ツーシーム、カーブ、カットファストボールなどの球威は上がり、より巧妙になった配球でメジャー打者に立ち向かっている。危機的状況からゴロを誘う緩急の調節も一級品だ。レッドソックス打線がリュ・ヒョンジンを十分に分析していることが予想されるが、今回はどんな配球で勝負するか注目したい。
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一方でリュ・ヒョンジンは、上半期の試合のなかで唯一の傷となった6月29日のコロラド・ロッキーズ戦(4イニング7失点)のように、これまでジンクスと向き合ったときに弱い姿を見せてきた自分自身の限界とも、再び戦わなければならない。
リュ・ヒョンジンは今シーズンに急上昇したが、特定の打者や球場など以前から苦手としてきたジンクスは引きずっている。今回のフェンウェイ・パーク遠征で勝利を記録し、そのジンクスを見事に打ち破れば、シーズン下半期に大きな自信を抱かせることになるだろう。
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