「それにソウルは車がよく渋滞する。移動するときはそういった渋滞も考慮しなければならない。また、冬はかなり寒い。昨年12月にアジアカップのための国内合宿があり、韓国の冬を初めて経験したが、ポルトガルでは経験したことがなかった寒さだった」
ベント監督はワインを愛するポルトガル人でもある。
「ポルトガルには有名なワインが多い。個人的には(特産物である)ポルトワインよりも、レッドワインの方が好きだ。食事のたびに少しずつ添えて飲む」
ポルトガルの民族歌謡である“Fado”についても尋ねてみた。
「好きな音楽だ。ポルトガルに行けば、“Fado”が流れるレストランがある。時折外食することもあるんだ」
“人間ベント”は、“監督ベント”をよく理解している。
「私に対して大衆たちが持つイメージを、私が変えることはできない。サッカー監督をしている以上、人々の非難も避けられない。私の決定はすべて人々を満足させることもできないだろう。成績が出なければ批判を受けるしかない」という彼の言葉が、それを感じさせる。
しかし、人間ベントも監督ベントも、“人”を尊重するという価値観は変わらない。
「基本的に私は、人と信頼関係を築くことが大切だと思っている。私的であれビジネス関係であれ、周りの人々を信じようとする。どこの国で暮らそうと、一緒に生きる人たちに対して良心を持って接しようと努力する。家族に接する姿と仲間たちに対する姿が、違ってはならない。人に対する尊重は常に備えなければならないというのが、私の価値観だ。これは簡単には変わらないだろう」と強く語った。
指導者ベントの哲学もこれに合致している。「選手である前に一人の人間として尊重されなければならない」というメッセージは、韓国代表選手たちにもしっかりと伝わっているはずだ。