「普段は大勢の人々に取り囲まれることが多い。試合がなくても行事参加など、大衆に多く露出されることが多い。煩雑さがあまり好きでない性格だが、職業柄、それも仕方なく甘受しなければならないと思っている。ただ、(人前に出ることは)大会期間や重要な試合を前になると負担でもある。
それでオフのときは、ただ楽にリラックスしていることが好きだ。ほとんど家にいると思う。行動範囲は広くない。誰か人と会うとしても、家族や友人のように気楽に過ごせる人を好む」
ベント監督はオフのときもサッカーだけは放さない。Kリーグや他国のリーグの試合を必ず見ている。
「家族が外出する時間を与えるためさ」と彼なりの名分があるようだが、「韓国に来て何もしていないわけではない。時折、外の空気を吸いに出かけることもある」と付け加えて、景福宮(キョンボククン)、江南(カンナム)、済州島(チェジュド)、プロバンス村など、さまざまな街や観光地の名を口にした。
「妻が韓国で一緒に生活するときは、買い物のために近くのデパートやスーパーマーケットにもよく行く」と打ち明けたベント監督は、「ただ、それは実は私が最も嫌いな仕事のひとつ」と愉快な冗談を付け加えることも忘れなかった。
ポルトガルのリスボンで生まれたベント監督は、さまざまな国で監督を務めてきた。ブラジル、ギリシャ、中国のクラブチームの指揮官を経て、韓国代表の監督になった。欧州、南米、アジアとさまざまな文化圏で生活してきたわけだ。
「多くの国で生活し、良い経験をした。一人の人間として、さらに成熟できる契機だった。韓国は基本的に、人々が教育をよく受けている感じだ。特に他人を尊重し配慮する文化が強い」
韓国生活で最も感じられた文化の違いについて聞くと、「どうしてもひとつを選ぶなら食事の時間」という意外な答えが返ってきた。昼食は昼12時から、夕食は午後6時からという概念がなく最初は適応するのに苦労したというのだ。