実効性は? MLBの投球間隔を20秒に制限する「ピッチクロック」をめぐる賛否

2019年02月27日 スポーツ一般 #MLB #野球
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「野球の根本にかかわる行為だ。私は反対する」(マックス・シャーザー)

「他の方法がないではないか。私は賛成する」(クリス・セール)

メジャーリーグ事務局が試合時間を短縮し、ダイナミックな試合展開のためにオープン戦から導入した「ピッチクロック(Pitch clock)」制度と関連して、選手や監督の間で議論が巻き起こっている。

ワシントン・ナショナルズのエースであるマックス・シャーザーと、ボストン・レッドソックスのクリス・セールも、米メディアとのインタビューで異なる立場を伝えた。

マックス・シャーザーは去る2月24日(日本時間)、『CBSスポーツ』を通じて「ピッチクロックがあるなかで(公式試合で)実際に投げるとなると、何よりも注意が散漫すると思う。意義のある変化であるかもしれないが、反対する立場」と述べた。一方のクリス・セールは、「競技時間を短縮する他の方法を見つけることは困難ではないか」と、ピッチクロックの導入を肯定的に受け入れた。

争点は、ピッチクロックの実効性と野球の根本である。

そもそもピッチクロックとは、投手の投球間隔を20秒に制限するルールのこと。投手は20秒以内に投球動作を行わなければならなず、打者は15秒までに投手に打撃準備ができていることを知らせなければならない。これ違反した場合、投手は1ボール、打者は1ストライクの罰則を受ける。

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2015年からピッチクロックを導入したマイナーリーグの試合平均時間は、8~9分ほど短縮されたという。しかしピッチクロックが初めて導入されたMLBのオープン戦6試合(2月24日)のうち、3試合の試合時間は3時間以上に及んだ。以降、現在までに行った試合の50%以上が3時間前後となっており、大きく時間が短縮されたと見るのは難しい。

選手たちは、投手と打者が20秒に追われてファウルボールが増加させながら、むしろ試合の流れが途切れて時間が遅延するとし、審判の判定に対する抗議が頻繁に行われるようになったと主張する。

リュ・ヒョンジンも影響を受けるかもしれない

デビッド・プライス(ボストン・レッドソックス)はツイッターで、「試合時間が長くなる本当の原因はファウルボール」とし、関連記事を掲載した。その記事は、アメリカ統計専門サイトである『ファイブサーティエイト』の資料で、シーズン全体のファウルボール数が1998年から20年間で、全体投球数の増加を考慮しても11.98%も増えたという内容だった。つまりピッチクロックによってファウルボールが増えることで、試合時間の短縮に悪影響を与えるという意味だ。

一方でデリン・ベタンセス(ニューヨーク・ヤンキース)のように、「どんな感じになるのか興味深い。(ピッチクロックは)気を使わなければそれほど邪魔にならないと思う。私は大丈夫だ」としながら、取るに足りないという選手もいる。

どうしてもベテラン投手は保守的な見方が強い。彼らは野球の根本を揺るがすことを危惧している。リッチ・ヒル(ロサンゼルス・ドジャース)は、「(ピッチクロックが)試合結果を左右するのであれば、ファンの立場としても反対しなければならないのか」と不快感を示した。

何よりも投手や打者が自分のリズムに合わせてマウンドや打席で息を整え、投球と打撃のポイントをあげようとするすべてが試合の過程であり、見る人の興味の要素でもある。ピッチクロックは試合時間の短縮という成果を超えて、野球の仕組みを揺るがすという意見だ。

米メディアもピッチクロックの導入に関心を示しながら、警戒心を見せている。『ニューヨーク・ポスト』は「ジャスティン・バーランダーの投球時間は昨シーズン平均27秒」としながら、トップクラスの投手が適応するのに非常に長い時間がかかることを懸念した。

ピッチクロックのレギュラーシーズンでの導入については、未定だ。

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