米国女子ツアーデビュー戦を「トップ10入り」で飾ったイ・ジョンウン(22)。デビュー戦から10位タイという好成績を残せたのは、彼女自身の強い精神力があったからに他ならない。
韓国女子ツアーで絶対女王として君臨していたときから、イ・ジョンウンの修飾語は“キラーメンタル”だ。米国女子ツアーでもそれが通用することが証明され、イ・ジョンウンの今後の活躍が期待される。
イ・ジョンウンが韓国女子ツアーで強い印象を残したのは、ピンチになっても動じない冷徹なプレーだった。大会で優勝争いをした他の選手たちは、「イ・ジョンウンの長打力やパットが自分より優れているとは感じないのだが、結果として負けている」と口を揃えた。
つまり目に見えるショットよりも、どんな状況でも安定して上手く、重要な場面でも乱れないのがイ・ジョンウン最大の強みということだろう。そのため彼女は“キラーメンタル”と呼ばれる。東京五輪でゴルフ韓国代表の監督を務める朴セリも、イ・ジョンウンについて「自分自身への確信が非常に強い選手だ」と賞賛したことがある。
多くの専門家は、イ・ジョンウンの強いメンタルを成長過程に起因したものと解釈している。
イ・ジョンウンは子供の頃、父親が交通事故で下半身に麻痺が生じるという大きな傷を負った。しかし車椅子となった父は車両を改造し、ゴルフの道を歩む娘をいつもトレーニング場と試合会場に連れいった。当時は家庭の事情も難しかったが、母はいつも「自分より困難な隣人を助けなさい」と話していたという。
イ・ジョンウンは環境を理由にせず、自分に尽くしてくれる両親の配慮のなかで、ひたすらゴルフだけを見つめた。韓国でスター選手になった現在も、両親は彼女のアメリカ行きを支持し、娘の第2の人生を応援している。
米国女子ツアーへの挑戦を控え、韓国で高強度の筋力トレーニングを行ったイ・ジョンウンは、過去にユ・ソンヨンらを手がけたアダム・ウッドワード(オーストラリア)を担当コーチに置いた。さらにフィギュアスケートのチャ・ジュンファンなどを担当したメンタルコーチのチョン・グリーンや、リディア・コーを指導したフィジカルトレーナー斎藤大輔などで、自分の専門チームも作った。
安定的なサポートのなかでイ・ジョンウンは、デビュー戦を向かえ、自分自身との戦いに2度勝利した。