「これからは江原FCにもレジェンドが必要だ。結局、そこからチームの歴史とストーリーが生まれるからだ」(イ・ヨンピョ代表取締役)
「江原FCとのロマンスを考えた。契約延長以外に答えはなかった」(ハン・グギョン)
【注目】ハン・グギョンが三十路を迎えても“心が折れない”理由
江原(カンウォン)FCは去る1月22日、ハン・グギョン(30)との4年再契約を発表した。今年で契約が終了予定だったハン・グギョンは、2024年まで江原FCに在籍する。韓国の数え年で今年32歳となる彼の年齢を考慮すれば、実質的な“終身契約”とも言って良い。
もちろん、ハン・グギョンは契約期間途中に移籍することも可能だが、江原FCからは彼を絶対に売却しないという意志が伝わってくる。今後、ハン・グギョンは江原FCでレジェンドとなる手順を踏むことになるだろう。
ハン・グギョンは今冬の移籍市場で複数クラブから強烈なラブコールを受けていた。
そのなかで特に積極的だったのは、過去にアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場経験もある昇格組の済州(チェジュ)ユナイテッドだ。済州は10億ウォン(日本円=約1億円)水準の移籍金と年俸引き上げ、長期の契約をハン・グギョンに提示した。
江原FCとしては、Kリーグでは珍しい巨額の移籍金で契約期間残り1年のハン・グギョンを売却することも悪い選択ではなかった。その移籍金で他の選手をリストアップできるだけでなく、クラブの財政も潤うからだ。
しかし、真っ先にハン・グギョンの残留を望んだのは、江原FCの新代表取締役に就任したばかりの元韓国代表DFイ・ヨンピョだった。
イ・ヨンピョ代表取締役は以前、本紙『スポーツソウル』のインタビューに応じた際も、「江原FCは歴史の浅いクラブだ。サッカーチームは歴史の中で出てくるストーリーが必要だが、レジェンドもいなければならない」と、ハン・グギョンとの再契約に意欲を示していた。
イ代表取締役はハン・グギョンと何度も電話をし、残留を要請した。ハン・グギョンは「代表取締役が未来についてたくさん話してくださった。“江原FCのレジェンドとしてともにしよう”という言葉をいただいた。今後の江原FCの発展に自分が必要なこと、一緒に成長しようということを言ってくださった」と語っている。
クラブが引き留めても、選手本人が強く望めば移籍が成立するケースは珍しくない。クラブが無理に選手を残留させても得るものがないからだ。済州が江原FCより高い年俸を提示した以上、ハン・グギョンが移籍を強行すれば江原FCに止める方法はなかった。
だが、ハン・グギョンは江原FCとの義理を考えた。
ハン・グギョンは2017年7月、1年契約で江原FCに加入した。ところが、その2か月後の同年9月に左ひざ十字じん帯断裂という重傷を負ってしまったのだ。
それでも、江原FCは2018年2月末にハン・グギョンと再契約を結び、彼のリハビリを支えた。ハン・グギョン自身も懸命なリハビリで回復を果たし、翌2019シーズンには全試合フル出場、Kリーグ全体トップの出場時間3675分という金字塔を打ち立てた。
契約延長を決めた背景について、ハン・グギョンは「移籍をしても江原FCと争いたくなかったし、関係が重要だった。エージェントには“江原FCと先に交渉したい”と話していた。江原FCとのロマンスを考えたとき、契約延長以外に答えはなかった」と明かしている。
江原FCは2008年に創設されたばかりの歴史が浅いチームだ。クラブで唯一レジェンドになり得たキム・オギュ(31)は、昨年に済州へと移籍したため、チームを象徴する選手はいないも同然の状態だった。
しかし、今回の契約延長によって、ハン・グギョンは江原FCの歴史に名を残す土台を整えた。契約通りであれば、ハン・グギョンは去る2017年から2024年までの8年間、江原FCでプレーすることになる。
ハン・グギョンは「2017年に江原FCと短期契約を結んだが、人間何が起きるかわからない。まさかこのようになるとは思っていなかった。江原FCとの関係性が深まり、長い時間を過ごした。私の妻も江陵(カンルン)での生活が好きだ。2018年に江陵で買った家を売ってしまったが、また調べなければならない」と笑いながら語った。
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