故チェ・スクヒョンさんに暴行や過酷な嫌がらせを行った疑いで拘束起訴された“チームドクター”に、懲役8年の判決が言い渡された。
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大邱(テグ)地裁・刑事11部(キム・サンユン部長判事)は1月22日、医療法違反と詐欺、暴行、類似強姦などの疑いで起訴されたアン・ジュヒョン被告に対する判決公判で、懲役8年、罰金1000万ウォン(日本円=約100万円)の判決を言い渡した。
同地裁は、アン被告に80時間の性暴力治療プログラム受講、7年間の身元情報公開、7年間の児童・青少年関連機関及び障碍者福祉施設への就業制限も命じた。
同地裁は「優越な地位を利用して治療を名目に選手たちに殴打・醜行し、これに耐えられなかった故チェ・スクヒョンさんが極端な選択をした」とし、「被害者たちが性的羞恥心を感じるほど苦痛が大きかったにもかかわらず、何の被害復旧も行われなかったことから、罪責に相応する厳しい処罰が避けられない」と明らかにした。
故チェ・スクヒョンさんが所属した慶州(キョンジュ)市庁トライアスロンチームで“チームドクター”と呼ばれたアン被告は、医師免許や理学療法士の資格なしに選手に医療行為をし、治療費などの名目で2億ウォン(約2000万円)以上を受け取った疑いで、昨年7月13日に慶北(キョンプク)地方警察庁に拘束された。
また、アン被告は慶州市庁トライアスロンチーム所属の選手数人を殴ったり、暴言などの過酷行為をしたり、一部の女性選手に対しわいせつ行為を行ったりした容疑も持たれていた。
判決直後、故チェ・スクヒョンさんの父親と元チームメイトは、「被害者が経験した苦痛に比べて、初犯という理由で検察の求刑より弱い量刑が言い渡されたのは残念だ」と話した。
元トライアスロン韓国代表の故チェ・スクヒョンさんは、昨年6月に釜山の宿舎で息を引き取った。22歳だった。
故チェ・スクヒョンさんは同年4月、前所属チームの慶州市庁トライアスロンチームで監督、先輩、チームドクターから受けていた熾烈な“パワハラ行為”をスポーツ人権センターに訴えていたが、事件解決が遅れたため、最終的に極端な選択を選んでしまった。
“チームドクター”と呼ばれたアン被告に対する宣告が一番先に行われた中で、ほかにも故チェ・スクヒョンさんにパワハラ行為を行った慶州市庁監督のキム・ギュボン、主将のチャン・ユンジョン、所属選手のキム・ドファンも宣告公判を控えている。
これに先立っての結審公判で、検察側はキム監督に懲役9年、チャン・ユンジョンに懲役5年、キム・ドファンに懲役8カ月を求刑している。
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