韓国スポーツ界の“闇”…監督や中心選手による暴力や嫌がらせが絶えない構造的問題とは

2020年07月14日 スポーツ一般
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韓国スポーツ界にはびこる成績至上主義が絶対的な“怪物”を生み出した。

元トライアスロン韓国代表のチェ・スクヒョン選手は、苛酷な嫌がらせと常習的な暴言・暴行に苦しんで自ら命を絶った。

【注目】自殺した元韓国代表選手のチームメイト「主将がいじめ、脅迫した」

加害者と目されるキム・ギュボン監督とチームの主将チャン・ユンジョンは、管理されることなく絶対的な権力を振るった。2人の言動は、韓国スポーツ界で蔓延している成績至上主義が作り出したという非難の声が上がっている。

自殺した選手の被害を知っていた協会

韓国トライアスロン協会は、チェ・スクヒョン事件の責任を逃れることはできない。

慶州市庁トライアスロンチームのキム・ギュボン監督

韓国トライアスロン協会は去る2月14日、2020年の定期代議員総会を開いた。その席で「東京五輪に出場可能性がある2人の選手の士気高揚のために、オリンピック出場権を獲得した選手には1000万ウォン(約100万円)の褒賞金を、当該選手の指導者には500万ウォン(約50万円)の褒賞金を支給する予定」と意見を集めた。

2人の選手の中には、チェ・スクヒョンを自殺に追い込んだ加害者とされるチャン・ユンジョンが含まれていた。

問題は、韓国トライアスロン協会が代議員総会の開催前に、チェ・スクヒョンの被害とチャン・ユンジョンの加害を認知していた点だ。しかし真相調査は後回しにしたまま、オリンピック出場時の褒賞金問題に心血を傾けた。暴力や嫌がらせが行われていても、歪曲・隠蔽するしかない構造があったわけだ。

韓国トライアスロン協会は成績とメダルを優先し、主力選手と監督は容赦ない暴力を遠慮なく振るったことになる。

加害者と目される主将チャン・ユンジョンは、韓国トライアスロンを代表する選手だ。彼女は2010年の広州アジア大会で銅メダル、2018年ジャカルタ・アジア大会の混成リレーで銀メダルを獲得した。それだけでなく韓国の全国体育大会の個人戦でも5つ以上の金メダルに輝くなど、所属する慶州(キョンジュ)市庁チームを引っ張る選手だった。

指導者にとって、所属選手とチームの成績はさらに重要だ。選手の成績が自分の成功につながる。良い結果が出れば、それは監督の契約延長を意味する。結局のところ、チームは成績に応じて指導者と主力選手を中心に運営するしかない。

慶州市庁トライアスロンチームの主将チャン・ユンジョン

故チェ・スクヒョン選手のチームメイトが記者会見で、「慶州市庁チームは監督と特定選手の王国」と訴えた理由だ。

今この瞬間も恐怖に震えている選手がいる

去る7月6日、国会疎通館で記者会見を開いたチョン・ヨンチョル文化連帯共同執行委員長は、「スポーツ界の人権蹂躙は成績とメダル、勝利という名分に包まれて温存されてきた。成績のためなら指導者の暴行と強圧的な練習、そして服従的な文化が拡散され、隠蔽された」と指摘している。

韓国スポーツ界に数十年間、蔓延してきた成績至上主義を短期間に根絶することはできない。それでも追加の被害は防がなければならない。成績だけを見て管理監督を受け付けないチームで起きた惨劇だ。成績はもちろん、選手と指導者を評価する別の基準の確立が必要な時点だ。

A種目のとある実業チームコーチは「過程よりも結果が重要視されるが、どうしようもない現実だ。過程に対する評価も一緒に行われても、どうなるかわからない」と慎重な立場を伝えた。B種目の関係者は「構造的に変わらなければならない。監督の場合は選手の育成と地域スポーツに貢献した部分を、選手は自分の成長やチームワークに対する項目でも作られれば、少しは改善されるのではないかと思う」と語った。

今年は大韓体育会100周年の年だ。そんな大韓体育会は予定されていた100周年記念行事やスポーツ(性)暴力根絶を誓う決意大会」を取り消し、スポーツ暴力追放緊急対策会議を非公開で開催することにした。

だが大韓体育会をはじめとする関連団体が対策作りという“机上の空論”にとらわれている今この瞬間も、第2のチェ・スクヒョンが恐怖と不安に震えているかもしれない。

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