KIAタイガースからフリーエージェント(FA)となった韓国人投手ヤン・ヒョンジョン(32)は、未だ去就が不透明だ。現在は個人練習をしながら来シーズンへの準備を進めているが、夢の1勝と歴史的な150勝の間でジレンマに陥った格好だ。
ヤン・ヒョンジョンはメジャーリーグ(MLB)進出を打診している。日本プロ野球への道も開かれているが、本人としては夢に描いたMLBの舞台を熱望していることだろう。ただ、MLB球団から契約を引き出せていないことからも、足踏み状態と言える。
現在、ヤン・ヒョンジョンをめぐって複数メディアが「MLBのいくつかの球団が獲得の可能性を打診中」と報じているが、文字通り“打診中”止まりだ。
2020シーズン、ヤン・ヒョンジョンが期待を下回る成績を残したため、各球団は彼のコンディションや球威に疑問符をつけているようだ。
ヤン・ヒョンジョンに対する評価は肯定と否定が半々だ。
まず、肯定的な意見ではMLBに上手く適応できるという見方が多い。球速はMLBの平均に及ばないが、試合運営能力はトロント・ブルージェイズのリュ・ヒョンジン(33)に並ぶという評価もある。
ほかにも、チェンジアップやスライダー、カーブを駆使できることから、守備に優れるチームでは先発で活躍できるとみられている。
その反面、球威は打者を圧倒できる水準ではないため、MLB進出が厳しいという指摘もある。来シーズン、MLBが正常通り162試合体制を稼働できれば、移動距離や時差など、体力的な問題がヤン・ヒョンジョンに直面するとの懸念もある。
ヤン・ヒョンジョンには国内残留の可能性も残されている。
韓国プロ野球で通算147勝を挙げたヤン・ヒョンジョンには、元ハンファ・イーグルスのソン・ジヌ以来2人目となる200勝達成が期待されている。
今後4年間、韓国プロ野球で先発として活躍できれば、年平均13勝程度で200勝に達することができる。徹底した自己管理を行うヤン・ヒョンジョンの性格を考慮すれば、不可能な挑戦ではない。
また、模範となる人間性を兼ね備えていることも、韓国プロ野球にとって大きな資産だ。ヤン・ヒョンジョンは“尊敬される野球選手”として、多くの後輩からロールモデルとして位置づけられている。彼ほど人柄と実力を兼ね備えた選手は珍しいという見方だ。
ヤン・ヒョンジョン本人の熱望と夢を見れば、MLBでの1勝は何者にも代えがたい価値といえる。MLBという大舞台を経験できる側面も、彼の挑戦意思を曲げない名分となる。
KIA側も1勝の価値を理解してか、「本人の選択を待つ」と応援している。ヤン・ヒョンジョン側がKIA側に定めた期限は今月20日までだ。
KIAのチョ・ゲヒョン団長は「真面目な選手なので、去就とは別にシーズン準備を着実に行っていると信じている。舞台がどこであれ、ヤン・ヒョンジョンという名前が輝けるよう準備する」と信頼を示した。
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