2020年のKリーグを盛り上げた浦項(ポハン)スティーラースが、新シーズンに向けて悩みを深めている。それでも、チームを率いるキム・ギドン監督は持ち前のポジティブシンキングを失わなかった。
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今シーズン、浦項はKリーグで最も注目されたチームの一つだった。終盤戦では全北現代(チョンブク・ヒョンデ)モータースと蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)を相次いで倒し、リーグ3位でフィニッシュ。「56」の得点数はリーグ最多を誇った。
さらには、キム監督が監督賞、FWソン・ミンギュ(21)がヤングプレーヤー賞、DFカン・サンウ(27)がアシスト王(12アシスト)と、各賞で浦項の名が挙がった。
シーズン終了後、キム監督のもとには国内外からラブコールが多く届いた。だが、キム監督は浦項残留を選択。去る11月26日に浦項と2年の再契約を結んでいる。
来シーズンは2016年以来にアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)にも参戦する浦項だが、選手構成の面ですでに頭を悩ませている。
まず、浦項の中軸を担った4人の外国人選手“イル・オ・パル・パル”(イリュチェンコ、オニール、パロチェビッチ、パラシオス)の解体だ。
オーストラリア代表MFブランドン・オニール(26)はタイのブリーラム・ユナイテッドへ移籍。今シーズン19ゴール6アシストのロシア人FWスタニスラフ・イリュチェンコ(30)、5ゴール6アシストのコロンビア人FWマヌエル・パラシオス(27)は退団の可能性が大きい。
また、14ゴール6アシストをマークしたセルビア人MFアレクサンダル・パロチェビッチ(27)も、残留の確率は低い。
キム監督は12月に入り、獲得候補となる新外国人選手の映像チェックに終われる日々を送った。映像の見過ぎで目に問題が生じ、手術を受けることになったほどだ。
現在は回復中だというが、それでもキム監督は外国人選手の選抜をおろそかにすることはできなかった。
浦項は今月末までにも、外国人選手の構成を完了する計画だという。キム監督は「変化が大きいことで悩みが深いのは事実だ。それに、ファンの期待値が高いことも良く知っている」としつつ、「新たな挑戦になる。来季の宿題になるだろう」と淡々と語った。
国内選手の状況も同じだ。主力DFのハ・チャンレ(26)は入隊を選択し、レンタルで2シーズンプレーしたMFチェ・ヨンジュン(29)も、レンタル元の全北現代へ戻る。ベテランDFキム・グァンソク(37)も、移籍説が取りざたされている状況だ。
浦項は現在、今シーズン活躍した“ベストイレブン”のうち、半分以上の選手がいなくなる状況に立たされている。
幸運にも、株価が急騰したソン・ミンギュとカン・サンウは守り抜くことができた。キム監督は再契約後、「ソン・ミンギュとカン・サンウを守り抜いてほしい」と要求し、クラブもこれに応えた。
キム監督は「全体的に変化が多い状況で、左サイドのラインまでいなくなるわけにはいかなかった」と説明した。
選手構成に頭を抱えるキム監督だが、笑顔を忘れることはなかった。
キム監督は「最近は夢も見ている。夢の中の試合では、我々が相手に押され、攻撃を多く許している。だが、それでも負けていなかった」と豪快に笑った。
そして、「自らもそうだが、選手たちには“自分は運が良い人”と言ってきた。今シーズンは選手たちがピッチ上で笑いながらプレーする姿を見た。来年も(選手たちと)笑いながら、面白いサッカーをやってみようと思う」と強調した。
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