蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)を応援しているのは、どうやら国内ファンのみではないようだ。
蔚山現代がアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)決勝進出を決めた12月13日(日本時間)、インスタグラムに蔚山現代を応援するイラン発のアカウントが登場した。
このアカウントには韓国の国旗をはじめ、蔚山現代の選手やエンブレムの写真などが相次いで掲載された。また、蔚山現代対ヴィッセル神戸の試合のハイライトも見ることができる。
同アカウントは、イランの首都テヘランを本拠地とするエステグラルのファンが作ったものと推定される。
エステグラルは、今回のACLで西地区から決勝に上がったペルセポリスとテヘランダービーを展開するライバル関係にあるチームで、過去50年近く熾烈な戦いを繰り広げてきている。
両チームのファンは、サッカー以外にも価値の面で衝突する。
イスラム革命以前の1970年代まで、ペルセポリスは労働者や庶民階級を代弁していた。一方のエステグラル(当時のクラブ名はタージ)は、上流階級から支持を受けるチームだった。政治や社会的概念でも異なるという意味だ。
同アカウントでは、エステグラルと蔚山現代のエンブレムの間には握手の絵文字を入れ、ペルセポリスのエンブレムには上から中指を立てた絵文字を被せた投稿がなされている。
ほかにも、蔚山現代のエンブレムを背負った虎が、ペルセポリスのエンブレムを背負った牛を追いかける写真も投稿されている。同アカウントは蔚山現代の選手をはじめ、Kリーグや韓国サッカー協会(KFA)のアカウントをフォローしている。
偶然にも、蔚山現代とペルセポリスのチームカラーはいずれもブルー。レッドのユニホームを着るペルセポリスを目の敵とするのも良い名分がある。
さらに、同アカウントはペルセポリスの選手の人種差別行為も公開。ペルセポリスFWイッサ・アレカシル(30)がアジア人を卑下する典型的な差別行為である「目を裂く姿」を披露した際の写真を掲載し、厳しく批判した。
今大会、ペルセポリスが決勝に進出した一方、エステグラルはベスト16で早くも脱落した。同国の国民とはいえ、ライバルの優勝を望まないエステグラルファンの願いが伺える。
蔚山現代とペルセポリスは、来る12月19日の決勝戦で激突。蔚山現代は2012年以来8年ぶりとなる優勝に挑戦する。対するペルセポリスは、2018年のACL決勝で鹿島アントラーズ(日本)に敗れ、準優勝を収めたことが歴代最高成績だ。
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