昇格の喜びは長続きしない。韓国Kリーグの水原(スウォン)FCは、すでに来シーズンに向けて頭を悩ませている。
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去る11月29日に行われた慶南(キョンナム)FCとのプレーオフを制した水原FCは、5年ぶりの1部復帰に成功した。
だが、すでに昇格の余韻は消えたようだ。キム・ドギュン監督とキム・ホゴン団長は本拠地の水原総合運動場に集い、2021シーズンの構想を模索し始めている。
キム・ドギュン監督は「(1部昇格の)嬉しさは、その夜が過ぎた後にすべて消えた。もう現実に戻った。今はむしろ残留への悩みが大きい。本当に苦労して昇格したのに、すぐ降格するわけにはいかない。少ない予算でチームを構成しなければならないとはいえ、心配は大きいし、頭が痛い」と笑いながら語った。
2003年に創設した水原FCは、2015年にプレーオフを勝ち抜いて1部初昇格を決めた。
だが、翌2016シーズンは1部で12チーム中最下位に沈み、わずか1年で2部に逆戻りした。当時、最下位としては過去最多の勝ち点を稼ぐ善戦を見せたが、残留には力不足だった。
水原FCは過去と同じミスを繰り返さないために、1部でシーズンを戦い抜けるスカッドを構成しなければならない。
ひとまず急がれるのは、2021シーズンの予算を確定することだ。
水原FCは水原市に翌年の予算案2つを提出した。Kリーグ1(1部)で生き残るために、今年よりも2倍多い金額を要請した。
といっても、今年は約80億ウォン(日本円=約8億円)程度の低予算で戦ったため、実際に提出した案はそれほど高額ではない。水原FCは今週中に予算が確定した後、選手獲得に動くことができる。
クラブオーナーのヨム・テヨン水原市長は、水原FCの1部昇格決定後、自身のSNSでキム・ドギュン監督とキム・ホゴン団長の名を直接言及。「市民に大きなプレゼントをもたらした選手たちに心から感謝します。2021年はKリーグ1を席巻する水原FCに期待しています」と綴った。
水原FCとしては、サッカーに詳しいヨム市長が、1部を戦うクラブにふさわしい支援をしてくれることに期待している。
そして、最も関心を引くのは、個人3冠(シーズンMVP、得点王、ベストイレブン)を達成したFWアン・ビョンジュン(30)の去就だ。彼は今シーズンの活躍ぶりから、国内の複数クラブから関心を寄せられている。ただし、アン・ビョンジュンは移籍金が発生するため、クラブの同意なしに移籍することはできない。
キム・ドギュン監督は「我々はアン・ビョンジュンをチームに残すことが最優先目標だ。契約条件も提示する予定だ。もし移籍を希望するのであれば、クラブが希望する条件に合わなければならない」と語った。
今年で契約が終了する石田雅俊(25、登録名:マサ)の場合は自由契約となるため、選手の意思が重要となる。水原FC側が再契約を提案しても、より良い条件で獲得を望むチームが現れれば、最終的には石田の意思次第となる。
攻撃の中核を担う2人の選手との再契約以外にも、水原FCは選手補強を幅広く行う見通しだ。キム・ドギュン監督は「1~2つのポジションではなく、スカッド全体を補強すべきだろう。そのため悩みも多い。ひとまず市が予算を確定次第、速やかに獲得の作業を行う予定だ」と述べた。
1部での生き残りをかけた水原FCの足取りは、すでに速いペースで動き出している。
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