「Kリーグの歴史に名前を刻むことができてとても光栄だ」
水原(スウォン)FCのFWアン・ビョンジュン(30)が、北朝鮮代表経験のある選手として韓国Kリーグで史上初めてシーズンMVPに輝いた。
アン・ビョンジュンは、11月30日にソウルの峨山(アサン)政策研究院で行われた「HANA 1Q(ハナワンキュー)Kリーグ2大賞授賞式2020」で、最高の栄誉である最優秀選手(MVP)に選ばれた。
アン・ビョンジュンはKリーグ2の監督10人中8人、キャプテン10人中6人から選択を受けた。また、メディア投票でも75票中57票を獲得。100点換算時の点数は72.4点と、2位イ・チャンミン(済州ユナイテッド、23点)を大きく上回った。
また、アン・ビョンジュンはKリーグ2得点王(21ゴール)とベストイレブン攻撃手部門も受賞し、個人3冠を達成した。
まったく異論のないMVPだ。リーグ戦を2位でフィニッシュし、プレーオフで1部昇格を決めた水原FCにとって、アン・ビョンジュンは“ヒーロー”のような存在だった。
開幕節から早々にゴールを決めたアン・ビョンジュンは、9月を除いたすべての月でゴールを披露。出場した26試合で21ゴール4アシストを記録すると、第1節から第5節まで5試合連続ゴール、第9節から第12節まで4試合連続ゴール、リーグ戦4試合で複数ゴールをマークするなど、驚異の得点量産ペースを展開した。
そして、11月29日に行われた慶南FCとの昇格プレーオフでは、後半ロスタイムに劇的なPK同点ゴールを成功。水原FCを5年ぶりの1部に導いた。
なお、アン・ビョンジュンが決めた21ゴールという記録は、チーム全体得点数(53ゴール)の約40%に達する数値だ。
アン・ビョンジュンは「私を選手として、人間として大きく成長させてくれたキム・ドギュン監督とコーチ陣、そして一緒に汗を流した仲間に感謝したい」とし、「日本から私のために熱心に応援してくれた家族やファンにも、やはり感謝の気持ちを伝えたい」と述べた。
在日コリアン3世のアン・ビョンジュンは、中央大学卒業後の2013年に川崎フロンターレでプロデビュー。その後はジェフユナイテッド市原・千葉やツエーゲン金沢へのレンタル移籍を経て、2017年にロアッソ熊本へ完全移籍。2018シーズンにはキャリア初の2桁得点(10ゴール)を達成した。
水原FCには2019シーズンに加入。リャン・ギュサ(2001年に蔚山現代でプレー)、アン・ヨンハ(2006~2007年に釜山アイパーク、2008~2009年に水原三星ブルーウィングスでプレー)、チョン・テセ(2013~2015年に水原三星でプレー)に続き、北朝鮮代表経験のある選手として4人目にKリーグ入りした。
アン・ビョンジュンは初年度の2019シーズンに17試合8ゴールを記録すると、2年目の今シーズンはKリーグ2を完璧に支配した。空中戦やフィジカルバトル、決定力で他の追随を許さず、キム・ドギュン監督が最も信頼を寄せるフォワードへと生まれ変わった。
アン・ビョンジュンはすでに、Kリーグ1の複数クラブからラブコールを受けている。1部で戦う来シーズンに向け、水原FCもアン・ビョンジュンの慰留に努めているが、彼の今後の去就には多くの注目が寄せられている。
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