カタール戦の隠れた韓国のキーマンは、チョン・ウヨンかもしれない。
チョン・ウヨンはアジアカップに出場したすべての選手のなかで、最も多くのパスを出した選手だ。アジアサッカー連盟(AFC)公式記録によると、チョン・ウヨンは4試合で計430本のパスを試みた。1試合当たり、平均107.5本に達している。
2位のトレント・セインズベリー(オーストラリア)が計377本であるだけに、その差はかなり大きい。韓国の選手では、キム・ヨングォンが計321本、キム・ミンジェが計313本と続く。今の韓国代表にとって、チョン・ウヨンが及ぼす影響力が非常に大きいということだ。
サッカーの記録分析会社であるビジュアルスポーツの資料を見ると、チョン・ウヨンはバーレーンとの16強戦でも111本のパスを成功させた。韓国代表で唯一の3桁台だ。
チョン・ウヨンは守備的MFで、ビルドアップの中心選手といえる。キム・ヨングォンとキム・ミンジェの間で、ボールを運ぶ役割を担う。韓国代表パウロ・ベント監督は、短いパスをつなげて前進し、試合の主導権を握ることを要求する。チーム内で最も多くボールに触れる選手なので、チョン・ウヨンのパフォーマンス次第で、チーム全体の流れが変わることもある。
チョン・ウヨンのパスの質が試合の鍵だ。キ・ソンヨンが負傷で離脱したため、チョン・ウヨンの役割はより重要になった。チョン・ウヨンが上手く機能すれば、韓国も簡単に主導権を握ることができる。一方でチョン・ウヨンが乱調となれば、試合は難しくなる。
実際にバーレーン戦でチョン・ウヨンは、数回のパスミスを犯した。これによって韓国の攻撃の流れが切断され、相手の攻撃を許すシーンが生じた。カタール戦で同じミスが出ると、試合は困難にならざるを得ない。
カタールのカウンターはとても速い。チョン・ウヨンは主に3~4列目でパスを駆使するので、ボールを奪われると一気にカウンターを受けることになる。簡単に失点の危機に陥るため、チョン・ウヨンのパスの精度がこれまで以上に重要だ。
ただチョン・ウヨンはもともと冒険するような選手ではない。その役割はファン・インボムが主に担当するので、なおさらチョン・ウヨンには安定感が必要だろう。
チームメイトの支援も欠かせない。チョン・ウヨンがパスの起点であるため、ボールを受け取れる位置に適切に動かなければならない。出しどころがないと、チョン・ウヨンがパスミスを犯したり、バックパスをしたりする可能性が大きくなる。
ファン・インボム、イ・チョンヨン、ソン・フンミンらがスペースを見つけてパスを受け取ることで、チョン・ウヨンも楽に試合を作ることができる。結果として、チーム全体のパフォーマンスも上がるだろう。
【関連】「ソン・フンミンがいなくても、韓国は優勝できる」は大きな間違いだ
チョン・ウヨンがカタール戦のキーマンになる理由は、他にもある。