ACLでFC東京と同組の“アジアのギャング”に危機、守護神が代表戦でコロナ感染

2020年11月18日 サッカー #ACL
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KリーグとFAカップ、2つの国内大会で準優勝した蔚山現代FCが、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)が再開されるカタール・ドーハへと11月16日(日本時間)に出発した。

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蔚山現代は今シーズン開幕前、現役韓国代表を獲得するなどして15年ぶりのリーグ優勝を目指したが、蓋を開けてみれば2年連続でライバルの全北現代モータースに逆転優勝を許し、FAカップ決勝でも同チームに苦汁を飲まされる悔しいシーズンとなった。だからこそ今シーズン最後の大会であるACLを制し、来シーズンへの弾みをつける計画だ。

蔚山現代は、2012年にACL優勝トロフィーを掲げたことがある。当時はグループリーグ6試合(4勝2分)から決勝まで無敗で優勝したことから、“アジアのギャング”とも称された。

スカッドだけを見ると8年前の無敗優勝メンバーよりも高評価を受けていただけに、国内で全北現代の後塵を拝したことは大いにプライドを傷つけられたことだろう。そのため、ACLを汚名返上の場とモチベーションも高い。

代えの利かない正守護神がコロナ陽性に

しかしACLに先立って行われている11月の国際Aマッチ期間、韓国代表として招集されていた蔚山現代の正GKチョ・ヒョヌが、遠征先のオーストリアで新型コロナの陽性判定を受けた。蔚山現代のACL制覇に向けて黄信号が点灯した。

蔚山現代FCのチョ・ヒョヌ(右)

今シーズンのチョ・ヒョヌはチームこそリーグ準優勝に終わったが、個人としてはKリーグベスト11のゴールキーパー部門に6年連続で選出された。2冠を果たした全北現代の正GKソン・ボムグンを差し置いての受賞だ。

チョ・ヒョヌとソン・ボムグンは今シーズンのリーグ27試合のうち、11試合でクリーンシートを達成した。平均失点ではソン・ボムグンが0.78点で、チョ・ヒョヌの0.85点を上回っている。しかしチョ・ヒョヌは各チームの監督とキャプテンからの投票で、圧倒的な支持を受けた。その結果が示しているように、数字だけでは測れないピッチ上での存在感や、同業者からの評価が高いということだ。

ACLで決勝まで進んだ場合、対戦相手は西アジア覇者のペルセポリス(イラン)となる。まったく別のサッカー文化やスタイルを持つクラブと戦うには、スキルだけでなく経験も重要となってくる。

2018年ロシアW杯や2018年アジア競技会でレギュラーGKとして大活躍したチョ・ヒョヌの存在感は、非常に大きい。蔚山現代のピッチ上の誰よりも代えの利かない選手といっても過言ではない。

心許ない控えGK

また、ゴールキーパーというポジションの特性上、1人しか試合に出場できない。シーズンを通して正GKの座に君臨していたチョ・ヒョヌと控えGKでは比較にならない。GKとフィールドプレーヤーの連携面など、懸念点は多岐にわたる。

緊急事態に陥った蔚山は、早急に2軍から新人GKミン・ドンファン(19)を遠征メンバーに組み込み、トップチームのチョ・スヒョク(33)、ソ・ジュファン(21)らとともにカタールへと向かわせた。チョ・スヒョクはベテランで経験はあるが、今シーズン1度もリーグ戦に出場していないため、試合勘の欠如が大きな懸念点だ。ソ・ジュファンも21歳とまだまだ若手のため、ACLという国際舞台で戦うには心許なく見える。

蔚山現代の関係者は「チョ・ヒョヌの新型コロナ感染は予想だにしなかった事態だが、仕方がない。彼が隔離期間を終え、再検査で陰性判定を受け次第、カタールでのACLに参加させようとしている。ただし最短で陰性判定となっても、11月21日の上海申花(中国)戦、11月24日のパース・グローリーFC(オーストラリア)戦への合流は難しいかもしれない」と話した。

11月24日以降は、27日にパース・グローリーFC戦、30日にFC東京戦、12月3日に上海申花戦の3試合が控えている。どのチームも各国内の強豪なので、正守護神抜きで戦うには厳しい相手だ。たとえ11月24日以降の出場にゴーサインが出ても、隔離直後のコンディションに不安を抱えた状態では実力を発揮することも容易ではない。

今年の締めくくりとしてアジア制覇を夢見ていた蔚山現代だったが、シーズンの不運を引きずったまま終えることになるかもしれない。

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