来る11月18日から再開される2020アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)に向けて、Kリーグからは4チーム(全北現代モータース、蔚山現代FC、FCソウル、水原三星ブルーウィングス)が決戦地のカタールへと発つ。
今年のKリーグ1とFAカップの両方で優勝争いを繰り広げた“ヒュンダイのライバル”、全北現代と蔚山現代が、11月15日未明に仁川国際空港からカタール・ドーハ行きの飛行機に同乗した。Kリーグで最も盛り上がるダービー、“スーパーマッチ”のライバルであるFCソウルと水原三星も11月17日未明に同じ飛行機に搭乗し、移動する予定だ。
しかし、中東へ向かう彼らの足取りは決して軽いとはいえない。今年のACLは新型コロナの影響で1度中断されている。グループリーグの1~2試合を行ったあと中断されたが、複数回の延期を重ねた結果、中立地カタールで再開することとなった。
Kリーグのように春秋制を施行するリーグのチームにとって、国内でのシーズン終了後にACL向けの調整を行うことは簡単ではない。KリーグとFAカップの2冠を達成した全北現代はACL優勝で3冠を目論むが、そうやすやすと事は進まないのが世の常だ。今シーズンでの引退を発表した“精神的支柱”イ・ドングッ(41)が、指導者ライセンス教習受講のためACLには不参加となっている。11月8日に行われたFAカップ決勝セカンドレグが、イ・ドングッにとって現役最後の試合となった。
加えて中盤の要である邦本宜裕(23)と、不動の右サイドバックのイ・ヨン(34)が負傷したままシーズン終了となっており、不完全なチーム状態でカタールに行かなければならない。また、すでに2冠を達成しているためチームに漂う空気もぬるくなっているだろう。
一方、蔚山現代は今シーズンも国内タイトルを獲得できず、チーム内の重苦しい雰囲気から脱することが急務とされている。シーズン前に大規模投資を行ったにもかかわらず、またしてもライバルの全北現代を超えられなかった蔚山現代は、クラブ内外で様々な噂がささやかれるなど難しい時期を過ごしている。
今シーズン最後の大会であるACLで挽回しなければという思いが強いはずだ。しかし蔚山現代は、ACL直前に行われる代表戦に最多の4人を送り出しているため、準備期間が短い点が懸念材料とされている。
Kリーグ1部・2部の昇降格制度発足以来、初のファイナルB(12チーム中下位6チーム)に陥落した“名門”のFCソウルと水原三星は、ACLを名誉回復の舞台と見ている。
特に今シーズン、チェ・ヨンス監督が成績不振で退いたあと、“代行の代行”が指揮をとるなどドタバタなシーズンを送ったFCソウルは、ACLに先立ち新監督を選任する計画を立てていた。しかしクラブがリストアップしていた候補者リストが外部に漏れてしまい、計画に支障が出始めた。応急処置としてクラブ内のライセンス所持者を緊急登板させる予定だが、シーズンを通して続いてきたドタバタ劇で選手たちも辟易しているはずだ。
水原三星はクラブOBでもあるパク・コンハ監督新体制で、シーズン後半に安定感を取り戻し、一時降格圏をさまよったものの、無事1部残留に成功していた。しかし、こちらも全北現代と同様に、ベテランでキャプテンのヨム・ギフン(37)がライセンス教習受講のため不参加となる。パク監督はFWチョン・サンビン(18)、GKアン・チャンギ(22)などの若手をACL登録メンバーにリストアップした。若手中心で経験の浅いチーム構成となりそうな水原三星だったが、吉報もある。
グループGで水原三星と同組のマレーシア王者ジョホール・ダルル・タクジムが、政府関係者により出国を拒否されたため、ACLには参加しない見通しとなった。ジョホールは2戦1勝1敗の勝ち点3で、ヴィッセル神戸(2戦2勝、勝ち点6)に続く2位だった。すでに神戸とジョホールに2敗を喫し最下位に沈んでいた水原三星は、ジョホールの欠場によりその1敗がなくなり、残りの試合を行うこととなった。
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