メキシコ相手に4分間で3失点した韓国…「自分たちのサッカー」ができなかった理由は?

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自身の哲学を貫き通すことは大事だが、時には柔軟に対応することも必要だ。

パウロ・ベント監督率いるサッカー韓国代表は11月15日(日本時間)、オーストリアで行われたメキシコとの親善試合に2-3で敗北した。スコアだけを見ると接戦だが、試合内容はメキシコの一方的な試合展開だった。

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もともと攻撃的なチームであるメキシコは、90分を通してDFラインを高く保ち、前線からのプレスで韓国を圧倒していた。組織的なプレスと早いテンポでのパス回し、高精度の決定力でメキシコがFIFAランキング11位の強豪たる所以を再確認する試合だったといえる。

(写真=韓国サッカー協会)韓国代表対メキシコ代表の一戦

悔やまれるべきはベント監督の対応だった。ベント監督は韓国代表監督に就任から一貫してGKを起点としたビルドアップを指向しており、ショートパスでの“ティキタカ”スタイルを目指すサッカーだった。しかし、この試合ではメキシコの強烈なプレスに苦しみ、“自分たちのサッカー”をさせてもらえなかった。プレスに慌てたDF陣はパスミスを連発し、中盤も制圧され、パスの出しどころを見出せなかった。

韓国の攻撃はFWソン・フンミン(28、トッテナム)や、MFイ・ジェソン(28、ホルシュタイン・キール)らの個人技でプレスをかいくぐるも、小気味よいテンポの“ティキタカ”は見られなかった。むしろセンターバックの不用意なパスミスで失点するなど、パスをつなごうという意識が悪影響を及ぼしていた。ベント監督も「自陣でボールを奪われる場面が多かった」と物足りなさを語った。

ワールドカップまではまだ2年残っているだけに、一度負けたからといってベント監督の哲学をすっぱり切り捨てる必要はない。ベント監督が望むチームを作るためには、一貫性のあるトレーニングと試合で戦術を浸透させることも重要だ。単純に“ティキタカをしたから負けた”という批判はお門違いだ。

敗因は監督の頭の固さ?

しかしプランAを強化すると同時に、対戦相手や試合展開に合わせて柔軟に対応する方法も身につけなければならない。ワールドカップでどのような相手と戦うかは未知数だ。韓国はすでにワールドカップで多数の主力選手たちが負傷離脱する苦い経験をしているため、レギュラーが揃わなかった場合の戦い方も用意しておくことがベターだ。

まさに今回のメキシコ戦がそうだった。今回のメンバーは、キム・ジンス(28、アル・ナスル)、ホン・チョル(30、水原三星)、キム・ヨングォン(30、ガンバ大阪)、キム・ミンジェ(24、北京国安)、イ・ヨン(34、全北現代)、キム・ムンファン(25、釜山アイパーク)といったレギュラーDFがケガなどを理由に、ごっそり抜けていた。純粋なセンターバックはクォン・ギョンヨン(28、尚州尚武FC)1人だけという非常に厳しい台所事情だった。

パウロ・ベント監督

このような悪条件ではプランBが必要とされるのは明白だ。たとえばスピードのあるソン・フンミンやファン・ヒチャン(24、RBライプツィヒ)、オム・ウォンサン(21、光州FC)らをシンプルに相手DFの裏へ走らせることも強力な武器となるはずだ。パスに定評のあるイ・ガンイン(19、バレンシア)がいるだけに、ラインを押し上げ中盤の選手がよりゴールに近い位置でプレーできる状況を作り出すことが重要だ。

それでもベント監督は一貫して後方からのビルドアップに固執したため、先制しながらも逆転で勝利を逃す結果となった。これはワールドカップでも充分に起こりうる事態だ。むしろ今回の親善試合を新しい戦術のテストとしたほうが、メリットは大きかったかもしれない。今回のメキシコ戦はベント監督の頑なな姿勢が印象的な試合だったといえる。

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