懸念していたアクシデントが発生した。
海外組と国内組の選手たちが一団となり、1年ぶりに“完全体”で遠征Aマッチを行おうとオーストリアに向かったサッカー韓国代表が新型コロナウイルスの猛威を受けた。オーストリアのウィーンで予定されたAマッチ2連戦(メキシコ、カタール戦)はともかく、感染者が今後、雪だるま式に増えてしまわないかとの危機感が広がっている。
韓国サッカー協会(KFA)は、現地の官公庁や防疫当局を通じてフォローアップを検討しているが、よりによって現地の業務時間ではない週末に事態が発生し、スピード感を持った対策が取れずにいる。
そもそも韓国代表の選手団とコーチ陣は、オーストリアへの出国前、または先発・後発陣の最終合流72時間前にPCR検査を受けた。左サイドバックのキム・ジンス(アル・ナスル)を除いた全員が陰性判定を受け、オーストリアへ向かった。
その後、国際サッカー連盟(FIFA)の規定に基づき、試合2日前の11月12日17時(以下、現地時間)には2次検査を実施した。するとGKチョ・ヒョヌ(蔚山現代)をはじめ、イ・ドンジュン(釜山アイパーク)、ファン・インボム(ルビン・カザン)、クォン・チャンフン(フライブルク)、スタッフ1人が陽性判定を受けた。
さらに試合当日の11月14日8時に陰性判定者を対象に再検査を行ったところ、キム・ムンファン(釜山アイパーク)とナ・サンホ(城南FC)が追加で感染者に分類されるという衝撃的な結果となった。
招集前のPCR検査で彼らはいずれも陰性判定を受けている。特に国内組は、韓国プロサッカー連盟でシーズン2度の検査を受けただけでなく、所属チームでも一日3回の体温チェックなど徹底的な管理を受けていた。
これに対して複数の防疫専門家は、オーストリア現地で感染した可能性が高いと見ている。感染者が特定国ではなく、国内組やヨーロッパ組の選手がいずれも感染しているという点を根拠に挙げた。また新型コロナの不確実性のせいで、以前の遠征Aマッチのようにトレーニング場や宿泊施設など代表チームが過ごす空間をいち早く決定することができず、トレーニング場に他の部外者が行き来した点なども根拠のひとつだ。
ただ韓国代表に同行した内科医キム・グァンジュン博士は、感染経路について生半可な推測をすべきではないと警戒した。彼はKFAを通じて「代表チーム内のコロナ感染経路は不明だ。(選手とスタッフが)合流72時間前に検査を行ったので、潜伏期間を経た可能性もある。また飛行機で移動中に感染した可能性も存在する」と強調した。
現時点では新型コロナの被害を最小限に抑え、選手団とスタッフの健康を守ることが最優先だ。当初、メキシコ戦を行えるかどうかに関心が集まったが、FIFA規定上のホスト(メキシコ)と開催国(オーストリア)のサッカー協会の決定に従うこととなった。彼らはFIFAと欧州サッカー連盟(UEFA)の規定及び、10~11月のAマッチの事例を挙げて試合進行を希望した。
関連規定によると、出場可能選手(コロナ陰性)が13人以上(ゴールキーパー1人を含む)の場合、試合が可能となる。韓国代表は陽性判定を受けた6人を除けば、19人が残るため、KFAは諸般の条件を考慮して両協会の意を受け入れ、メキシコ戦(2-3敗)を行った。去る10月にクリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)がAマッチを控えて陽性判定を受けたが、彼を除いてAマッチが正常に行われた事例もある。
11月17日に対戦するカタールも、サッカー協会の次元で予定された日程を消化する意思を示したことがわかった。
ただ韓国代表チーム内に感染者が多く、今後も増える可能性が高いという点で、KFAの苦心は続くことになる。事態がさらに悪化すれば、せっかく集まった選手団が現地で隔離生活を強いられ、緻密な“帰国作戦”を整えなければならない笑えない状況が発生する。
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