オーストリアで1年ぶりの国際Aマッチを行うサッカー韓国代表が、課題の1つであるサイドバック人材の発掘に着手する。
韓国代表は11月15日朝5時(日本時間)にメキシコと、17日22時にカタールと対戦する。新型コロナの影響でワールドカップ予選が延期されるなど、今年1度も国際Aマッチを行えていない韓国代表は、今回の2連戦を通じて主力選手の連携を確認する予定だ。
アタッカー陣はソン・フンミン(トッテナム)を筆頭に、ファン・ウィジョ(ボルドー)、ファン・ヒチャン(RBライプツィヒ)など欧州組が中心となっている。彼らは2年前の第18回アジア競技会と、ロシアW杯をきっかけに韓国代表の攻撃陣の中核を担っている。今回の欧州2連戦では、2022カタールW杯を見据えてメンバーの最適解を見出すことが目的だ。
ソン・フンミンを筆頭に欧州各地で研鑽を積んでいるアタッカーに目が行きがちだが、カギはDF陣といわれている。MFチョン・ウヨン(アル・サッド)と、DFキム・ミンジェ(北京国安)のセンターラインは、各メジャー大会を経て高い経験値を誇るが、左右のサイドバックに不安要素を抱えている。
韓国サッカー界はA代表だけでなく、各世代別代表でも以前からサイドバック専門の人材が枯渇しており、“サイドバック欠乏症”に悩まされている。今回も当初は左サイドバックのファーストチョイス2人を招集していたが、キム・ジンス(28、アル・ナスル)は新型コロナ、ホン・チョル(30、蔚山現代)は負傷により辞退することとなった。
ベント監督はキム・ジンスの代わりにイ・ジュヨン(29、全北現代)を、ホン・チョルの代わりにはセンターバックが本職のチョン・スンヒョン(26、蔚山現代)を招集した。
キム・ムンファン(25、釜山アイパーク)とともに、右サイドバックとして今回初招集となったユン・ジョンギュ(22、FCソウル)は左サイドでも起用可能だ。ユン・ジョンギュのポリバレント性を評価しての招集ではあるがその反面、国際舞台で通用するサイドバックの人数が不足しているとも見られる。
日本代表には長友佑都(34、マルセイユ)、内田篤人(32、引退)、酒井宏樹(30、マルセイユ)など、ヨーロッパ主要リーグで活躍するサイドバックを多数輩出している。
また、前述した選手らは長年日本代表のサイドを支えてきており、引退や高齢化が懸念されているが、室屋成(26、ハノーファー96)や、安西幸輝(25、ポルティモネンセ)、菅原由勢(20、AZ)らが続々と海外進出をはたしており、世代交代も難しくないと見られている。冨安健洋(22、ボローニャ)にいたってはセンターバックが本職にもかかわらず、“守備の国”といわれたイタリアでデビューシーズンは右サイドバックとして重用されたほどだ。
韓国代表のサイドバック不足はDFライン構築において、複数のポジションで起用可能なマルチロールな選手の需要が増え、専門サイドバックよりもセンターバックなどとの兼用選手をより重用する傾向とマッチしてしまったがために起きた現象だ。
また、攻撃と守備の両面で大きな負担を抱えるというポジションの特性上、有望な人材がそこを避けるという現象も起こっている。
しかし、サイドバックは現代サッカーにおいて最重要といっても過言ではないポジションだ。ベント監督もサイドバックを起点にビルドアップを図る戦術のため、自身の好みとマッチするサイドバックのチョイスには頭を悩ませているはずだ。
カタールW杯出場が目標のベント監督としては、今回の2連戦で韓国サッカー界のサイドバック問題解決への第一歩としたいところだろう。
今回は惜しくも辞退することとなったキム・ジンスとホン・チョルが支える左サイドと比較して、右サイドはより問題を抱えている。ロシアW杯でレギュラーとして出場していたイ・ヨン(全北現代)は、もうすでに35歳となる。先を見据えるベント監督は今回キム・ムンファンを“ポストイ・ヨン”とするべく招集した。そして左右で起用可能なユン・ジョンギュの可能性もこれから見出していくつもりだ。
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