サイ・ヤング賞やMVP、新人賞などといった表彰はすべて、全米野球記者協会(BBWAA)の投票によって行われる。
無記名投票が原則ではあるが、最近では記者が自身の投票を公開し、実質的な開票結果が明らかになるケースが多い。
そんななか、11月12日(日本時間)にサイ・ヤング賞の受賞者が発表。アメリカン・リーグで最終候補に選ばれていたトロント・ブルージェイズのリュ・ヒョンジン(33)は3位となった。
サイ・ヤング賞の投票者は全30人。彼らの1位から5位までの投票によって、今シーズン最高の投手が決定する。投票時点はレギュラーシーズン終了直後だ。
投票結果、ア・リーグのサイ・ヤング賞にはクリーブランド・インディアンスのシェーン・ビーバー(25)が選ばれた。ビーバーは投票者30人全員の1位票を独占し、210ポイントを獲得。
2位はミネソタ・ツインズの前田健太(32)で、2位票18個、3位票4個、5位票4個の92ポイント。3位のリュ・ヒョンジンは、2位票4個、3位票7個、4位票5個、5位票4個で計51ポイントと、50ポイントの4位ゲリット・コール(30、ニューヨーク・ヤンキース)を1ポイント差で抜いた。
興味深いのは各投票者の選択だ。リュ・ヒョンジンに2位票を投じた記者は、タンパベイ・レイズ、シアトル・マリナーズ、ロサンゼルス・エンゼルス担当だったのだ。
レイズ担当記者ヘスス・オルティズとジョン・ロマノ、マリナーズ担当ラリー・ストーン、エンゼルス担当ファビアン・アルダヤの4人が、リュ・ヒョンジンに2位票を投じた。
一方、投票権を行使したブルージェイズ担当記者2人のうち、リュ・ヒョンジンを選択したのは1人だけだった。
『トロント・サン』のロブ・ロングリーはリュ・ヒョンジンに5位票を投じたが、『スポーツネット』のアーデン・ツウェリンはリュ・ヒョンジンを選ばなかった。
もちろん、記者たちが自分の担当するチームの選手を選ばなければならないわけではない。投票者ごとに、選手の技量を評価する基準にも違いがある。
とはいえ、リュ・ヒョンジンは今シーズン、WAR(総合評価指標)3.0を記録した。これはア・リーグ内ではビーバー(3.3)に次ぐ数値で、前田(1.6)よりも高い。
一方、ナ・リーグではシンシナティ・レッズのトレバー・バウアー(29)が、201ポイントでサイ・ヤング賞に輝いた。2位はシカゴ・カブスのダルビッシュ有(34)、3位はニューヨーク・メッツのジェイコブ・デグロム(32)となった。
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