元Jリーガーのベテランが奮起、蔚山現代が逆転優勝に向けて一致団結

2020年10月30日 サッカー #Kリーグ
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窮地に追い込まれたとき、“ベテランの力”が頼りになる。

【注目】41歳イ・ドングッ、涙の引退会見

全北現代モータースに押し出されるかたちで3カ月ぶりにKリーグ2位へと後退した蔚山現代FCは、11月1日にホームで行われる光州FCとのシーズン最終戦で奇跡を起こそうとしている。

最終戦を控え、現在リーグ2位の蔚山は勝ち点54とし、1位の全北現代(勝ち点57)に3ポイントリードされている。自力優勝への道は閉ざされており、最終戦の光州戦で勝利を挙げたうえで、全北と大邱の試合結果に委ねるしかない状況だ。

得失点差では全北に7ゴール差をつけているため、蔚山が勝利し全北が敗れることで勝ち点が並べば奇跡の逆転優勝も見えてくる。

昨シーズンの最終戦直前は、蔚山が1位で全北が2位という状況だった。しかし最終戦で全北にひっくり返され、目前で優勝をかっさらわれた。おもしろいことに今季は真逆の立場となった。

失点のきっかけとなったキム・ギヒ(左)を励ますイ・チョンヨン(右)

ライバルの全北は今シーズン調子の上がらない時期もあったが、蔚山戦の勝利で波に乗り、調子を上げている。また優勝の期待がかかる最終戦(大邱FC)は、“韓国サッカー界のレジェンド”イ・ドングッ(41)の引退試合も兼ねており、大先輩の花道を飾るため選手たちのやる気は充分だ。

全北の選手たちは最近、自主的に休日を返上し、最終戦に向けて準備を整えているとのことだ。逆転優勝への青写真を描く蔚山としては、より一層のプレッシャーとなるはずだ。

今後にも不安がつきまとう蔚山現代

ほかにも蔚山の逆転優勝への不安要素がある。最終戦の相手である光州FCとは今季2戦して1勝もできていない。5月のアウェー戦、9月のホーム戦の両方で1-1の引き分けだった。

そんななか最近の蔚山では、イ・グノ(35、かつてジュビロ磐田やガンバ大阪に所属)らベテランが中心となり、選手間のミーティングでチームの空気を良いものへとしようとしている。主力選手たちが全北との直接対決で、昨年のジンクスを破れなかったことへの失望と、優勝の可能性が急激に狭まった不安に苦しんでいるためだ。

優勝チームが決まっていないなか、リーグ戦が終わるとすぐに国内カップ戦の決勝が執り行われる。決勝では再び全北とのホーム&アウェー2試合を行わなければならず、このタイミングでチーム状況を改善できなければ優勝の賭かったリーグ最終戦はもちろん、カップ戦決勝にも悪影響を及ぼしかねない。

加えてカップ戦が終わるやいなやカタールへと移動し、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)の日程も消化しなければならない。これまで成績はもちろんのこと、リーグ興行でもKリーグの名手として活動してきた蔚山としては、シーズン中の全北戦での敗北で今シーズンのすべてを壊されかねない状況だ。

蔚山の関係者は「イ・グノやイ・チョンヨン(32)といった経験豊富なベテランが率先して後輩たちを導こうとしている。キム・ドフン監督をはじめコーチ陣も、現状何を重要視すべきかよくわからないのか」と選手たちに発奮を促したとし、「とりあえず一旦頭から“優勝”の2文字を取り除こう。フロントも選手たちが目の前の試合に全力を尽くせるよう、より一層支援する」と述べた。

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