結局は全北現代なのか。今年も優勝トロフィーは彼らのホームタウンに向かう可能性が高い。
韓国Kリーグの全北現代モータースは10月25日に行われた蔚山現代FC戦に勝利し、優勝への道筋をたしかなものとした。勝ち点57を確保した全北は、蔚山(勝ち点54)に3ポイントリードしている。
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つまり11月1日にホームで行われる大邱FCとのリーグ最終戦が引き分けに終わっても、優勝することができる。全北は今シーズン、大邱との2度の対戦でどちらも勝利を収めており、Kリーグ初となる4連覇に王手をかけている状況だ。
とはいえ全北にとっては、浮き沈みの激しいシーズンだった。
シーズン序盤から江原FCに敗れるなど、チームには不穏な空気が漂っていた。序盤は優勝争いのライバルと目されていた蔚山が首位争いで優位に立っていた。
全北の1つ目の危機は夏。7月に行われた3試合で1敗2分、わずか勝ち点2しか得られずチームは揺れていた。蔚山と3ポイント差で2位となっていたが、全北は簡単に崩壊せず、5連勝で第17節を終えたあとは、蔚山に1ポイント差まで迫っていた。
蔚山を猛追した全北だったが、2つ目の危機が訪れた。8月末の試合でまたしても江原に敗れたあと、城南FCにも敗北し、2連覇を喫したのだ。続く光州FC戦も引き分けに終わり、第20節終了時点で蔚山との勝ち点は5ポイント差まで広がっていた。
全北の追撃はもはや困難に思われたが、全北は蔚山との直接対決を制して状況を一変させた。9月15日時点で1位の蔚山に2ポイント差と迫り、最終的に直接対決で状況を逆転させた。全北の根気と経験が蔚山を上回ったのだ。
しかしプレーを見れば議論の余地がある。全北は良い選手を有しているにもかかわらず、ピッチ上のプレーではファンの欲求を満たせていない。チェ・ガンヒ監督時代(2005~2011)に6度のリーグ優勝、AFCチャンピオンズリーグを2度制した勇ましい姿は久しく見られていない。チェ・ガンヒ監督以降はチームカラーも定まっておらず、物足りなさが指摘される部分もあった。
しかし全北はどのような形であれ、勝ちにこだわるという勝負強さも見せてきた。特に今シーズンのターニングポイントとなった蔚山との3度の直接対決で3勝し、勝ち点9を荒稼ぎすることで逆転優勝への足がかかりとした。1度や2度転んでも最終的に這い上がる地力が全北の特徴ともいえる。
また、全北には絶対に優勝を逃せない理由もある。10月26日に全北所属の韓国サッカー界のレジェンド、イ・ドングッ(41)が引退を発表したからだ。
“ライオンキング”と称され、韓国サッカーの発展に寄与してきたレジェンドの勇退に優勝、リーグ4連覇という特別な花を添えるためにも、全北の選手たちは何がなんでも優勝するという気持ちが強いはずだ。
また奇しくもイ・ドングッのラストマッチは、優勝がかかる大邱FCとのリーグ最終戦だ。引き分けなどというケチなことをいわず、勝利を収めることで偉大なる先輩を華々しく送り出したいとも思っているはずだ。
大きな異変が起こらない限り、全北はKリーグ初の4連覇を達成するはずだ。全北は城南とKリーグ最多優勝数を競っている。現状は両チームともに7度ずつ優勝しているなか、全北が今シーズン優勝すると8度目の栄冠となり単独1位となる。名実ともにKリーグ最高のチームとなるチャンスを掴んだ全北のシーズンラストマッチに注目したい。
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