“韓国人トップリーガー”神戸製鋼チャン・ソクファンが語る「日韓ラグビーの違い」とは?

2020年10月01日 スポーツ一般 #ラグビー
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たとえばチーム数。韓国ラグビー協会に登録されているチームは、中学22チーム、高校17チーム、大学9チーム、社会人3チームに尚武を含めた計52チームである。韓国内すべてのチームを合計してこの数字なのだからラグビー人口も少なく、日本の100分の1にも満たないのだ。

日本のトップリーグにあたる「コリアンラグビーリーグ」なる社会人リーグも存在するが、社会人リーグは尚武を含めた4チームしかないのだから、シーズン通しての試合数は日本に比べて圧倒的に少ない。アメリカンフットボールと勘違いする人も依然として多いというのが、韓国ラグビーの現状だ。

「日本は幼い頃からラグビーに触れる子が多く、環境が整っているのを感じました。ここでラグビーをしたらさぞ楽しいだろうな、とも。韓国の場合、いくら早くてもラグビーと接するのは中学生頃から。それに、国内でラグビーの活性化自体なされていないので、そこが改善されない限りは変わらないと思います。ラグビーはすごく面白く、みんなが楽しめるスポーツですから、そこが良くなれば…」

そこでチャン・ソクファンが“韓国ラグビー界が日本から見習うべき点”として注目するのは、清掃や子どもたちとの交流など、トップリーグチームが各地域で積極的に行っている交流活動だ。

「ああいう姿が人々の関心を集めますし、注目を集める。日本は(韓国に比べて)チーム数も多いのに、認知度を高めようと活動する姿がとても良いと思います」

トップリーグでの充実ぶり語る

チャン・ソクファンはトップリーグでプレーしながら充実感も得ているという。

なかでも、入団3年目の2018-2019シーズンを“自身が成長した年”とチョイス。「ラグビーへの理解度がより高まった」と語る。

当時の神戸製鋼は、ウェイン・スミス総監督、デーブ・ディロンヘッドコーチの新体制でシーズンに臨み、日本一を決める「日本選手権大会兼トップリーグ総合順位決定トーナメント」で2012-2013シーズン以来となる決勝進出。決勝では、それまで大会2連覇中だったサントリーサンゴリアスを55-5という大差で下し、トップリーグで15シーズンぶり、日本選手権では18シーズンぶりの頂点に立った。チャン・ソクファンも決勝でフル出場し、チームの勝利に貢献した。

ラグビーW杯終了後の昨シーズンからは、チャン・ソクファンと同ポジションに世界的名手が加わった。ワールドカップ3度の優勝経験を誇るニュージーランド代表“オールブラックス”の一員であるブロディ・レタリックだ。チャン・ソクファンは昨シーズン、出場した5試合すべてでレタリックとロックのコンビを組んだ。

レタリックは“世界最高のロック”とも評されるラグビー界屈指のスター選手である。そんな彼を間近に見ながら、感嘆することが多いとチャン・ソクファンは言う。

「自分はフォワードの中でもワークレートが優れている方だと思っていました。でも…レタリック選手は流石ワールドクラスと言ったところか、圧倒的な運動量で走っていました。もちろん、フィジカルやスキルも平均以上でしたが、特にワークレートが飛び抜けていると感じました」

世界のトップ選手に刺激を受けながら、その実力を高めているチャン・ソクファン。ピッチを離れた神戸での生活も充実しているという。

「神戸はとても良い環境です。住民は優しい方が多く、運動するにも観光するにも良い。大阪に行くにも近いですからね」

ちなみに、日本で一番好きな食べ物はラーメンで、なかでも醤油ラーメンや豚骨ラーメンが好みなのだとか。「ニンニクの効いた醤油ラーメンが好き」で『神戸ちぇりー亭』や、『餃子の王将』によく食べに行くそうだ。

ただ、他にトップリーグでプレーする韓国人選手とは、日本でなかなか会う機会が無いのが寂しいらしい。

「日本でプレーする韓国の選手とはほぼ全員と仲が良いです。でも、親友がみんな東京方面にいるなかで自分一人だけ関西地方にいるので、直接会うのは難しいですね。試合のときは少しだけ会って話せますが、個人的な時間を使って会うには遠すぎて…(笑)。メッセージや電話は良くしますけどね」

7人制韓国代表への期待「努力した分、結果も…」

そんなチャン・ソクファンは、東京五輪に出場する7人制ラグビー韓国代表に大きな期待も寄せている。

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