東京五輪、1年延期の影響は…新型コロナの余波が今も続く韓国スポーツ界

2020年07月26日 スポーツ一般 #東京五輪
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本来ならば7月22日から2020東京五輪が始まるはずだった。

だが、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスの感染拡大によって、大会は来年に延期となり、依然として収束の気配が見えない最近は「再延期」や「中止」といった声も出てきている。

つい先日も『USAトゥデイ』が専門家たちの見解をもとに「東京五輪開催は論理的に不可能」と報じた。

【注目】「東京五輪開催は論理的に不可能」米メディアが指摘

4年に1度の大舞台を目指して汗を流してきた日本代表の選手たちにとってはもどかしい日々が続くが、それは全世界の選手たちも同じだろう。

2020年7月に照準を合わせきた韓国の選手たちも、さまざまな変更を余儀なくされている。

アーチェリー代表選考は白紙化

例えば韓国のお家芸であるアーチェリーだ。韓国は前回リオデジャネイロ五輪でも男女ともに個人・団体の両方を制覇して金メダルを独占するアーチェリー大国で、女子に関しては「オリンピックでメダルを獲得するよりも韓国代表になるほうが難しい」といわれているほどだが、男女ともに代表メンバー選考がリセットされた。

本来は代表選抜戦を1次から3次まで行い、最終的に勝ち残った者を東京五輪に送り出す予定で、すでに1次と2次の選考会を実施していた。最終の3次選抜戦のみを残すのみだったが、東京五輪が延期されたことですべてを白紙に戻し、9月から新たに代表選考会を行うこととなった。

ロンドン五輪とリオ五輪で金メダルのキ・ボベ、リオ五輪で金メダルのチャン・ヘジンなど、すでに行われた選考会で敗れて代表争いから敗退していた選手たちにとっては挽回のチャンスだが、彼女らを破ってオリンピック出場まであと一歩と迫っていた若手は複雑な心境だという。

キ・ボベ

ただ難しい状況に立たされているのは、アーチェリーも含めた各種目の韓国代表の選手たちだろう。

設備が整った選手村を使えず

オリンピック種目の韓国代表選手たちは、最新設備が整ったナショナルトレーニングセンターである鎮川(チンチョン)国家代表選手村で寝食をともにしながら練習に明け暮れる合宿生活を送るのだが、新型コロナの影響でその鎮川選手村が3月26日付けで一時閉鎖。15種目490人の選手・指導者たちが退村を命じられている。

4月下旬になって感染が落ち着いたことで5月中旬からバドミントン、体操、卓球、ボクシング、柔道、レスリング、空手、ウェイトリフティングの代表選手たちが復帰する予定だったが、それも5月12日に発覚したソウル・梨泰院(イテウォン)のクラブでのクラスター発生で中止となり、それから2カ月が経った今も鎮川国家代表選手村はクローズドのままなのだ。

そのため各種目の代表選手たちは、それぞれの所属先で個別練習に励んでいるが、最新設備と充実した衣食住が整った選手村こそが「韓国エリートスポーツの総本山にしてメダル創作所だ」といわれるだけに、運営が再開されても“コロナ空白期間”が来年の東京五輪の結果に悪影響をもたらすのではないかと懸念されている。

鎮川国家代表選手村にいる韓国代表選手たち

大韓体育会は昨年、「東京五輪の目標は金メダル7個で総合10位以内だが、5個が現実的だろう」と目標設定していたが、それを下回ることも覚悟しなければならないかもしれないという意見も聞こえ始めている。

ただ、メディアを通じて伝わってくる選手たちの東京五輪に寄せる思いは強い。

『聯合ニュース』の取材に対して、男子柔道100キロ級のチョ・クハムも言っている。

「予定通りにオリンピックが開かれていれば今頃は東京だったのにとても残念。ただ、オリンピックが中止になるとは思っていない。来年の東京五輪は正常に行われるという心構えでこれからもベストを尽していく」

それは韓国だけではなく、世界のアスリートたちに共通する“思い”でもあるのだろう。

(文=慎 武宏)

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