「サッカーの名門」という修飾語が似合わない2020シーズン序盤の歩みだ。
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韓国Kリーグの2大山脈と評価されたFCソウルと水原三星(スウォン・サムスン)ブルーウィングスが、そろって不安なスタートを切り、ふらついている。
第6節まで終了した現在、FCソウルは2勝4敗(勝ち点6)で9位、水原三星は1勝2分3敗(勝ち点5)で10位に沈んでいる。
まだリーグ全体日程の20%程度しか消化していない状況のため、最終順位を簡単に予想することは難しいが、両チームの現実は芳しいものではない。
水原三星は、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)含む公式戦4連敗で今シーズンをスタートさせた。昨シーズン、創立以降初のリーグ3連敗で不安な始まりを告げたチームは、今年も似たような雰囲気を続けている。
一方のFCソウルは、直近のリーグ戦で3連敗し下位圏へと急落した。特に、去る6月14日の第6節大邱(テグ)FC戦で0-6の大敗を喫し、サッカーファンに大きな失望感を与えた。
前身の安養(アニャン)LGチータース時代の1997年以来、23年ぶり3度目のクラブ通算最多ゴール差での敗戦となったが、オウンゴールを2回献上し、闘志を失ったプレーを見れば事実上自滅したといっていい。
困難を抱える両チームはさまざまな面で共通点が多い。最近では年を追うごとにクラブの予算が減り、毎回の移籍市場で満足のいく戦力補強ができずにいる。シーズンに突入すれば負傷者が続出して“使える選手がいない”と嘆く。
かといって、育成面で目立った成果を挙げられているわけでもない。若い選手たちは成長を続けているが、まだチーム内での競争に苦労している。大きく変わった環境下で変化を受け入れ、忍耐を続けているが、未だ実が結ばない状況にあるのだ。
わずか10年前まで、水原三星とFCソウルはKリーグを代表する強豪として知られていた。
2015シーズンまでは両チームが毎回上位スプリットに挙がり、優勝できずとも対抗馬としての役割を果たしてきた。
しかしそれからというもの、両チームはその名にふさわしくない道を歩み始める。
水原三星は2016シーズンに初めて上位スプリット進出を逃し、プライドに傷がついた。
FCソウルに至っては、2018シーズンに目の前まで降格の危機が迫っていた。リーグ11位と落ちぶれ、昇格プレーオフを戦う屈辱を味わったのだ。2016シーズンのリーグ優勝からたった2年で訪れた危機なだけに、その傷はさらに深い。
FCソウルと水原三星の不振から、両チームの対決であるスーパーマッチに対するファンの関心も以前と変わった。一時期は4~5万人の観客が訪れたスーパーマッチは、最近行われた昨年10月の一戦では1万6000人という数字を記録した。
今では、“アジア最高ダービー”だとか“世界7大ダービー”という別名についても慎重にならざるを得ない。ここ最近では“スーパーマーケットマッチ”という冗談もでている。
スーパーマッチへの関心が減った最大の理由は成績のためだ。両チームがライバルであることに変わりはないが、し烈さを感じることができないのだ。
あるサッカー関係者は、スーパーマッチの人気下落についてこう分析している。
「以前はそれでも、FCソウルと水原三星が対戦する試合は“先に見る1位決定戦”や“チャンピオン決定戦”という修飾語が自然に付けられていた。それほど両チームは強いチームで、いつでも優勝に挑戦できるチームという期待があった。両チームのファンだけでなく、サッカーファン全体がスーパーマッチに集中して熱狂することができた」
「だが、最近はどうか。両チームがそろって上位圏の順位で直接対決したのがいつなのか、よく思い出せない」
ここ数年、FCソウルと水原三星はクラブ運営について“低コスト高パフォーマンス”という命題をめぐって頭を悩ませている。
もはやスタープレイヤーを獲得できる財政的な余裕はない。しかし、ファンの期待値は依然として高い。
プロの世界では結果がすべてを代弁する。今の変化が成功しなければ、“サッカーの名門”という称号さえ失いかねない。
韓国サッカー界は、FCソウルと水原三星がこれ以上“平凡なチーム”に没落することを望んでいない。
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