アダルトグッズ業者の下心と韓国プロサッカー連盟の空振り、そしてFCソウルの油断がもたらした前代未聞のハプニングだ。
【注目】韓国メディアも「国際的な恥」と落胆…“応援マネキン”騒動とは
特に、アダルトグッズ業者が“自社製品の広告のためにKリーグを活用した”という合理的な疑念を抱かざるを得ない状況なため、苦々しい思いだ。
スタジアムにあってはならない“モノ”がファンの代わりを務めていた。去る5月17日、ソウルワールドカップ競技場で行われたKリーグ1(1部)第2節のFCソウル対光州FC戦で、観客席にアダルトグッズと思われるマネキンが座っていたのだ。
新型コロナウイルス感染症の脅威を乗り越え“ニューノーマル”時代を切り開いたKリーグは、5月8日に開幕のときを迎え、無観客試合でシーズンを戦っている。各クラブは新型コロナ克服をアピールするさまざまな方法で、がらんとした観客席を埋め尽くしている。
しかし、そんな中でFCソウルは空振りをしてしまった。「新型コロナをともに克服しよう」というメッセージを伝えるべく、人の姿に近いマネキンを観客席に並べたのだが、それがアダルトグッズである疑惑が持たれているのだ。
何より、この企画の出発点にKリーグ主管団体の韓国プロサッカー連盟も関与していたことも問題だ。
当時、韓国プロサッカー連盟関係者は該当業者から「無観客試合に我々のプレミアムフィギュア(マネキン)を配置してはいかがだろうか」との問い合わせを受け、まともな検証作業もなしにFCソウルに橋渡しをした。
5月6日に連盟関係者を通じて当該業者の代表を紹介してもらったFCソウルは、ミーティングを通じて後々物議となる企画を具体化し始めた。
FCソウル関係者は「当初、マネキンを観客席に配置するのは多くの費用が発生するため、考えさえしなかった」と明かすと、「マネキンの広報が必要だという業者側が“無償で可能だ”となったので、そのまま推し進めることにした」と説明している。
観客席には30体ものマネキンが配置された。全製品が応援の服装をしていたため、すべて“ラブドール”だったかの確認は不可能である。とはいえ、いくつかのマネキンを一目見ただけで、おかしいことはすぐに察知できるだろう。
FCソウル関係者は「業者の代表が“台湾(野球)やドイツ(サッカー)でもマネキンは使われている。どうせならもっと人と似ているものを置けばいい”と提案した」とし、「業者の代表の言葉通り、プレミアムマネキンと言うのだから従来とは違うだろうと思っていた。常識的に問題があると感じたなら、観客席には配置しなかったはずだ」と釈明した。
加えて、マネキンとともに設置されたプラカードには、応援メッセージの他にアダルトグッズ業者のロゴやラブドールの製品名が記載されていた。
この件について、FCソウル関係者は「“○○選手ファイティン”といった風にプラカードを作ったので、大きな問題はないと思った。認識が足りなかった。我々が一次的にまともに把握できなかったことが過ちだ」とミスを認めた。
韓国プロサッカー連盟とFCソウルの油断がもたらした失態だが、今回の物議はノイズマーケティングを念頭に置いた関連業者側が意図して問題を起こしたような疑いを拭えない。
今回の事態でイメージに大きな打撃を受けたFCソウルは、事実関係を明確に把握すべく努力している。
FCソウル関係者は「マネキン業者の代表は依然として“プレミアムマネキンだ”と主張している。現在も我々と連絡を取り、真偽のほどを把握中だ」としながらも、「真実を突き止めるには法の力を借りるしかない」と明かした。
続けて「“コロナ時代にみんなで頑張って勝とう”という意味でメッセージを送ろうと試みたのだが、意図とは裏腹に物議をかもしてしまい、申し訳ない」と、関係者は頭を下げた。
FCソウルは内部確認を経た後、法的手続きに移行する予定だ。
今回の一連の騒動の中でアダルトグッズ業者がノイズマーケティングを利用した悪意があった場合、社会的非難のみならず、それに相応する法的処罰は受けるべきだろう。
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