厳しい環境の中でもオリンピック本選出場へのチケットを獲得した。韓国ラグビーは一歩ずつ前進を遂げている。
男子7人制ラグビー(セブンズ)韓国代表は、昨年11月に自国で開催された2020年東京五輪アジア予選で優勝し、史上初の本選出場を決めた。
アジア最強国の日本が予選に参加しなかった影響もあるが、中国や香港の壁を乗り越えたことで、韓国ラグビーの競争力発展を証明した。
そんな矢先、新型コロナウイルス感染症によってオリンピックの1年延期が決まった。これには韓国内の興奮の熱気も、事実少し冷めてしまった。先が長くなり、緊張が緩みやすい状況となった中、男子セブンズ韓国代表を率いるソ・チョンオ監督はこの時期を"技量をもっと磨ける時間を稼げた"とポジティブにとらえている。
ソ監督は本紙『スポーツソウル』との電話インタビューに応じ、「より多くの選手を発掘できる時間が生まれたから、ポジティブに考えている。競争力を強化できるチャンス」と自信と期待をうかがわせた。
韓国内でラグビーは“不人気スポーツ”にあたる。昨年ワールドカップを開催した日本をはじめ、香港など他のアジア諸国では大衆的なスポーツになりつつあるが、韓国ではサッカーや野球などの人気スポーツと比べて断然知名度が低い現状だ。
とはいえ、そんな韓国でも最近では少しずつ"ラグビーの大衆化"が進められている。全国20校の中学、17校の高校から、トッププレイヤーを夢見る有望株が成長してきているのだ。蔚山(ウルサン)、江原(カンウォン)を除く全国自治体にラグビーチームがあるとみていい。
けがと隣り合わせで不人気なスポーツが韓国内で少しずつ発展を遂げられているのは、爆発的なパワーや躍動感あふれるラグビーの魅力が着実に伝わっているからだろう。
韓国ラグビー協会は、ラグビーの授業を望む学校に講師や道具を支援するなど、大衆スポーツへの成長のためにさまざまな努力を行っている。
そんな韓国ラグビーがもう一段階跳躍するためには、やはり"代表"の飛躍的強化が必要だ。
現在、国内の大学ラグビーはわずか9チーム。社会人は一般実業団の現代グロービス、ポスコ建設、韓国電力に、国軍体育部隊を加えたたったの4チームがすべてだ。
同じ韓国でも、サッカーKリーグにはプロクラブが22個も存在する。トップの環境が整えばユース世代の人口も増える。その競技のインフラが自然に拡張される構造が出来ているのだ。
反面、ラグビーは実業団が少ないために拡張性の限界が露わになっている。
といっても、公企業の韓国電力では引退後も正規職の身分で定年まで働けるメリットがある。現代グロービスも同様の処遇を検討している。
また、“日本進出”という目標も、選手の間では強烈なモチベーションだ。トップリーグという規模の大きさだけでなく、韓国よりも高い年俸が保障されるのも理由の一つにある。
インフラは不足していても、代表チームの競争力には期待しても良いだろう。今回、セブンズ韓国代表は純粋な国内選手のみでオリンピック本選出場という快挙を達成した。それも他国と比べてはるかにインフラが劣る"不毛の国"が成し遂げたのだから、その意味合いは大きい。
代表チームの中にはトップリーグで活躍する選手もいる。個人の実力だけ見れば十分ハイレベルにあるため、来るオリンピックでも全線を期待して良いだろう。
現在、最新の世界ランキングで韓国はアジア3番手の31位。他のオリンピック出場国と比べればその差は大きいが、“不毛の国”でラグビーを大衆的なスポーツへと成長させるべく、韓国のラガーマンは今も努力を続けている。
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