新型コロナウイルス感染症の影響で各国リーグの中断期間が長期化している。拡散が収まる兆しも未だ見えていない。
欧州サッカー界では、現時点でチェコが5月25日、ポーランドが29日からのリーグ再開を発表した。
その他にも、ドイツ・ブンデスリーガは5月9日、イングランド・プレミアリーグは6月8日など、ビッグリーグも再開時期を検討している。しかし、専門家の間では懐疑的な見方が多い。
国際サッカー連盟(FIFA)の医療委員長ミシェル・ドーゲ氏は最近、イギリスメディア『BBC』とのインタビューで「医師の観点では見ると、9月以前にサッカーを再開してはならない。2019-2020シーズンを再開させるよりも、新シーズンの準備をした方が良いだろう」と話すと、「サッカーは接触の多いスポーツであるため、リスクが常に存在する」と警告した。
現時点で各国の感染者数は、スペインが約23万人、イタリアが約20万5000人、イギリスが約17万1000人、ドイツが約16万3000人となっている。感染者数上位10カ国の中に、欧州からは7カ国も入っている。
ベルギーやオランダに続いて、フランスが欧州5大リーグの中で初めてシーズンの早期終了を決定した。
フランス1部のリーグ・アンには元ガンバ大阪FWファン・ウィジョ(27)や元横浜F・マリノスMFユン・イルロク(28)といった韓国代表選手もプレーしている。
どちらも欧州デビューシーズンがまさかの結末になってしまったとはいえ、来シーズンの準備を再び始められるだけましな方だ。
他の韓国人選手は、彼らと異なる状況に置かれている。
ブンデスリーガのマインツに所属するFWチ・ドンウォン(28)は、ドイツ紙『ビルト』とのインタビューで「一日も早くチーム練習が正常的に行われ、5月にもリーグが再開されたら良いだろう。すべての選手がサッカーをしたがっている」と訴えた。
チ・ドンウォンは数シーズン在籍したアウグスブルクを離れ、2019-2020シーズンから活躍の場をマインツへと移していたが、ここまで1試合も出場できずにいる。
昨夏のプレシーズンに負ったひざの負傷の影響が大きく、長期間リハビリを余儀なくされたチ・ドンウォン。後半戦からは控えメンバーに名を連ねるようになり、新天地でのデビュー戦を待ちわびていた。
しかし、予期せぬ新型コロナの事態によってリーグが中断されたことで、新天地デビューへの流れが途絶えた。
チ・ドンウォンが最後に出場した試合は2019年5月18日、アウグスブルク在籍当時のヴォルフスブルク戦だ。それから負傷や新型コロナなどが重なり、一年近く実戦に出場できずにいる。このままでは、1シーズンを丸ごと棒に振る可能性が高い。
現在28歳と全盛期の年齢を迎えているチ・ドンウォンからすれば、あまりにも手痛い状況だろう。
冬の移籍市場でKリーグ復帰が破談となり、ラ・リーガのマジョルカと4カ月の短期契約を結んだ元韓国代表MFキ・ソンヨン(31)も似たような状況にある。去る3月7日のエイバル戦でデビューを飾って以降、ラ・リーガもやはり中断されているからだ。
短い契約機関の間に自身の価値を証明し、新たな長期契約または新天地へのアピールを図っていたキ・ソンヨンの望みは、新型コロナに足を引っ張られている。
プレミアリーグの中断を受け、基礎軍事訓練消化のために海兵隊に入所したFWソン・フンミン(27・トッテナム)。5月8日の退所後、ロンドンへと戻る予定であるが、イギリス入国後に再び2週間の自主隔離を行わなければならない。
イギリス政府は、すべての入国者に対し2週間の自主隔離を義務化している。そのため、仮にプレミアリーグの再開日が定まったとしても、チーム練習に合流できないことから、一部のリーグ戦に出場できない可能性がある。
アジアでは、Jリーグの状況が最も良くない。
Jリーグではクラブ内部での感染者発覚が相次いだことを受け、リーグ中断期間を6月7日まで延長している。
DFキム・ヨングォン(30・ガンバ大阪)やFWナ・サンホ(23・FC東京)、GKキム・スンギュ(29・柏レイソル)らをはじめ、J1リーグとJ2リーグでプレーする韓国人選手は30人を超える。大半の選手は韓国へ帰れず、日本にとどまっている。
Jリーグの事情に詳しいあるエージェントは「当然、韓国に戻ったほうがいいが、チームに他の外国人選手もいたため、個人行動は容易ではない。チームの許可を得なければならないのに、1人だけ韓国に帰るというわけにはいかないじゃないか。気をつけて過ごすしかない状況だ。外出を控えながら健康管理に心掛けている」と説明した。
新型コロナによって、活躍する機会を奪われてしまった各国リーグの韓国人選手たち。事態の終息とともに、一刻も早いリーグの再開を望むのは当然だろう。
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