韓国のプロサッカーリーグであるKリーグが、ついに開幕する。
韓国プロサッカー連盟は4月24日に理事会を開き、2020年シーズンの開幕を5月8日にすると発表した。
【現地発】Kリーグで約1カ月ぶりに親善試合開催!“最小限の接触”で行われたその模様は?
Kリーグの開幕は本来3月1日を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて2月24日に緊急理事会を開いて延期に。当初は2~3週間程度、遅くても4月4、5日には開幕したいとしていたが、国内感染者数の急増や韓国政府が防疫対策のために実施した社会的距離(ソーシャルディスタンス)確保のために、3月30日に無期限延期が決まった。
韓国プロサッカー連盟は各クラブに他クラブとの練習試合も禁止要請するなどしていた。
だが、4月19日に政府が発表した社会的距離の緩和(4月20日~5月5日)により、4月21日から練習試合の実施が解禁に。メディア取材も許可が下りて、練習試合には70人を超える記者たちが駆け付けた。
取材した『スポーツソウル』サッカー班によると、審判だけではなく選手たちがマスク姿に手袋で入場するという異例の光景や、サポーターらがスタジアム入口に集まるちょっとした騒動も見られたという。
この練習試合解禁によって一気に開幕への機運が高まり、本日(4月24日)の理事会決定に至ったわけだが、注目の開幕日は当初噂されていた5月9日(土曜日)ではなく、5月8日(金曜日)のナイトゲームになった。
一日早く前倒ししたのは、Kリーグの前身であるスーパーリーグ元年の開幕が1983年5月8日であったこともあり、歴史的な意味合いも持たせるためだったという。
開幕カードは、前年度王者の全北現代対、水原三星。全北現代は目下Kリーグ3連覇中の絶対王者であり、水原三星は1990年代後半から2000年代に隆盛を誇った名門。新旧常勝軍団の対決だけに注目を集めるだろう。
全北現代には日本人Kリーガーの邦本宜裕も所属するだけに、邦本が出場すれば日本でも話題になりそうだ。
ただ、試合は無観客で行われる。開幕カードだけではなく、5月9日と10日に開かれるその他の試合も含め、当分の間は無観客試合でリーグ戦を行う。
気になる今季のリーグ戦開催方式だが、開幕が2カ月以上遅れたこともあって当初よりも縮小される。
Kリーグは2014年からスプリット・システム(ホーム&アウェイ総当りの1次リーグを終えたあと、その上位6チームと下位6チームによる順位決定ラウンドを行う)で行われているが、1部リーグのKリーグ1は今季、既存の38ラウンド(レギュラーラウンド33試合+スプリットラウンド5試合)ではなく、27ラウンド(レギュラーラウンド22試合+スプリットラウンド5試合)で行われる。
2部リーグのKリーグ2はスプリット・システムではなく、27ラウンドで行われる。
昇格・降格は、まず尚州(サンジュ)市とのホームタウン協約が満了する、軍隊チームの尚州尚武次第となる。尚州が新たに市民クラブを立ち上げ、尚武が新たなホームタウンを見つけてKリーグ参戦続行の意思を示した場合、2チームとも規定により2部降格となる。
そのため尚州尚武がKリーグ1で最下位に終わった場合、Kリーグ2の優勝クラブが自動昇格。Kリーグ1の11位がKリーグ2のプレーオフ勝者と昇降格プレーオフを行う。
尚州尚武がKリーグ1最下位ではなかった場合、尚州と尚州を除いたKリーグ1の最下位が降格することになる。逆に昇格はKリーグ2の優勝チームと、Kリーグ2プレーオフ勝者が来季からKリーグ1になる。
韓国内で再び新型コロナウイルスの感染が急増したり、万が一、Kリーグの現場から感染者が出た場合についての対策マニュアルも用意した。
開幕後、選手や関係者から感染者が発生した場合、当該チームはもちろん、そのチームと対戦した相手チームも2週間、活動を中止する。また感染者と濃厚接触した人の数が一定基準を超えた場合、リーグ中断の決定も下される。
いずれにしても、日本のJリーグをはじめ、世界各国のリーグが中断・延期しているなかで再開が決まったKリーグ。新型コロナウイルスの感染状況が収束に向かい始めている韓国で、プロ野球に続きプロサッカーも始まることは、明るいニュースになりそうだ。
(文=慎 武宏)
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