日本の安倍政権を支持するメディアが、東京五輪のために世界のスポーツ協会が協力すべきという利己的な発想を公にした。
【注目】韓国オリンピック委員会が東京五輪の延期や不参加を主張できない“的外れな理由”
『読売新聞』は3月26日、国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ調整委員長の発言を引用して、「来年に延期された東京五輪は、7月10日に閉幕するウィンブルドン選手権と9月に開幕するUSオープンの間に開かれるべきというのがジョン・コーツ挑戦委員長の見解。オリンピックを7~8月に開催するために、国際陸上競技連盟などと調整中」と強調した。
読売新聞グループの『スポーツ報知』も同日、「東京五輪は7月23日開幕、8月8日閉幕が最有力」などと、遠慮することなく開催時期を具体的に言及した。
2021年9月30日までの自民党総裁任期中にオリンピックを行いたい安倍晋三首相の計算と相通じる主張であり、選挙前に五輪フィーバーで勢いをつけて憲法改正に突き進みたいという下心が見える。
『スポーツ報知』が7月開幕を主張する理由を要約すると、以下のようになる。
124年の伝統を持つオリンピックは、金曜日に開幕し、16日後の日曜日閉幕が慣例。森喜朗組織委員長の「おおむね夏をめどにする」という言葉もあり、来年7月23日に開幕、8月8日に閉幕するのが理想的だ。単純に1年延期とすれば、日程や聖火リレー、輸送面などのフォーマットを変える必要もなく、夏休みなのでチケット購入者やボランティアのスケジュールを合わせるのも簡単だ―。
注目したいのは、世界水泳選手権(7月16日~8月1日・福岡)や世界陸上選手権(8月6日~15日・アメリカ)などのメガスポーツイベントは、オリンピックのために日程調整しなければならないというニュアンスを入れたことだろう。
まるでオリンピック正常開催のために、世界のスポーツ界が足並みを揃えて当然といった論調だ。
IOCトーマス・バッハ会長は3月25日、「延期されたオリンピックの開催時期を夏に限定していない」とし、「スポーツイベントのカレンダーを見て、どんな選択肢があるか調べる計画」とだけ話した。
イギリス『BBC』は「バッハ会長が33の国際競技連盟と電話会談し、東京五輪を再び組織するためのタスクフォースチームを設けた」と伝えた。
またバッハ会長は、「東京五輪のすべての要素が当初の計画通りできる保障はない。大会延期によって犠牲と妥協が必要だ。遅くても来年夏にオリンピックが開かれることを望むが、夏に限定されたわけではない」とも話した。
自民党総裁選で4選を狙う安倍首相と、IOCバッハ会長の長期執権の野心がオリンピック開催時期を決定する基準になる可能性がある。
韓国オリンピック委員会イ・エリサ常任委員は同日、CBSラジオに出演して「選手たちがコンディションを引き上げる過程、予選が終わっていない種目、各国の政治的な思惑などにより、オリンピック開催時期が決まる可能性がある。中止の可能性もまったくないとは言えない」と述べた。
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