1年程度の延期が決まったからといって、すべてが解決されたわけではない。課題はまだ山積みだ。
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3月24日、日本政府と国際オリンピック委員会(IOC)は、2020年東京五輪を1年程度延期することで合意した。
新型コロナウイルス感染症が世界各地で猛威を振るう中、今回の合意によって、来る7月の開催強行を懸念していた選手たちは悩みをある程度は解消できただろう。
かといって、すべての問題が解決されたわけではない。むしろ、延期に伴う問題が新たに発生する。予算問題や出場規定、スケジュールなど、あらゆる問題を解決しなければ、“完全な”オリンピックを開催することはできないだろう。
今回の延期で大きな影響を受けているのはサッカー界だ。
オリンピックの33種目中、男子サッカー競技だけが唯一年齢制限を設けているためだ。
去る1992年のバルセロナ五輪から年齢制限が定められた男子サッカー競技は、オーバーエイジ枠3人を除き、満23歳以下の選手に出場資格が与えられる。
今年7月を目標にチーム編成を進めていた各国代表は、計画の修正が不可避だ。
今大会のみの特例として、出場資格年齢の緩和などを行わない限り、現時点で候補に選ばれている大半の1997年生まれの選手は、オリンピックに出場することができない。この問題を解決するには、国際サッカー連盟(FIFA)とIOCとの協議が必要だ。
他に、ランキングのポイントによってオリンピック出場資格が決まる種目も頭を悩ませている。特に、ツアー大会結果による世界ランキングに基づいて出場権が与えられるゴルフやテニス、バドミントンなどが問題だ。
国際スポーツイベントのスケジュールにも影響が及ぶ。
2021年は、世界陸上選手権(7月)や世界水泳選手権(8月)といった主要な大会が予定されていた。ただし、日本政府とIOCの決定に従い世界陸上連盟や国際水泳連盟が日程変更の準備を進めているため、さほど大きな問題にはならないとみられる。
開催国である日本国内にも解決すべき問題がある。
現時点まで販売されたチケットは約900億円にのぼる。新型コロナの事態を受け、すでにチケットの払い戻しを要求する観客もいたが、日本政府は“払い戻し不可”との方針を打ち出した。
日本の主要メディアは「不可抗力による場合には、その義務の不履行に対する責任は負わない」と払い戻し不可について報じている。
約8万人に及ぶ大会ボランティアの処遇も解決しなければならない。日本メディアの3月25日付の報道によると、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は「フレームは変わらない」と、延期の場合でもボランティアの権利が継続される旨を明かした。
ひとまず延期となった東京五輪だが、これからが本当の正念場といえるだろう。
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