東京五輪は政治的な計算で変動を重ねて延期となった。急場しのぎにはなった形だが、日本の安倍晋三首相に向けられる国際社会の視線は厳しい。
日本経済新聞、読売新聞は3月23日、安倍首相が2020東京オリンピック・パラリンピックを完全な形で開催することが難しければ延期を考慮すると発言した背景について、国際社会の世論とともに“密月関係”にあるアメリカのドナルド・トランプ大統領の助言なども相次いだためだと報じていた。
【関連】韓国が東京五輪の延期や不参加を主張できない“的外れな理由”
トランプ大統領は3月12日、私見としながら「空っぽの競技場(無観客)で(オリンピックを)開催するよりも、1年延期したほうが良い」と全世界の指導者としては初めて“オリンピック延期論”に力を加えた。その翌日、安倍首相と電話会談をし、「オリンピック開催を1000%支持する」とも述べた。
この地点で安倍首相は「延期」のほうで確信を抱いたのでないか。
安倍首相がこれまで最も懸念していたのは“オリンピック中止論”だった。
新型コロナウイルス終焉が科学的に予断し難い状況でもあり、オリンピック開催の最終決定権者であるIOCの立場としては延期するより中止したほうが、むしろ中継権会社やその他の業者との違約金紛争で有利な面が多いという噂も流れていた。
中止となると、東京五輪を“復興オリンピック”としていた安倍首相は、政治的成果が得られなかったという批判に追い込まれる。2021年9月の任期満了を控えている安倍首相にとっては、東京オリンピック・パラリンピックの成功的な開催を通じてその立場を固めるきっかけにしたかったはずだ。
オリンピックは安倍首相にとって、政権運営のための動力と同然。中止となれば安倍政権にとっても致命打になりかねない。
トランプ大統領から東京五輪開催に関する支持を受け、1年間延期をすることは安倍首相にとって次善の策だったのだ。
まず、任期満了前にオリンピックを終えることができる。伝染病問題の中で成功的な開催を通じて自身の政治的遺産に作り上げることができ、助言を受けたトランプ大統領をはじめ、国際社会の主要人物の支持もその立地を新たに固めるきっかけにもなる。
つまり、安倍首相が初めてオリンピック延期発言をしたのは、徹底した政治的計算から出たことを意味する。
結果的に、安倍首相は3月24日、トーマス・バッハIOC会長との電話会談で東京五輪の1年延期を提案し、バッハ会長も同意して正式発表に至った。
にもかかわらず、安倍首相に対する国際社会の視線は厳しいのはなぜか。