韓国のメディア関係者と意見交換するなかで、最近、必ず登場する話題がフェイクニュースだ。
去る11月も韓国の保守系ユーチューバーが「文在寅(ムン・ジェイン)大統領やとその側近のチョ・グク前法相などの名前があると、広告出稿が遮断されるようだ」という趣旨の発言をしてちょっとした話題になった。
放送通信委員会のハン・サンヒョク委員長が「明らかなフェイクニュースだ」と反論して一段落したが、先週は「BTS(防弾少年団)が所属事務所への法的対応を検討している」と報じたニュース番組が、「報道後に当事者の立場を確認し、その結果訴訟の可能性が非常に低いことがわかった」と訂正を入れた。
韓国では元KARAク・ハラなどが自ら命を絶ったことから、ネット上の悪質なコメントや“指殺人”がイシューになっているが、同じくらい“フェイクニュース”が問題視されているのだ。
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例えば、一般市民が主導するフェイクニュースの検証プラットホームまで登場しようとしているほどだ。名前は「フェイクニュース・チェックセンター推進委員会」という。
12月10日にはソウルで市民団体やメディア公共性フォーラム、弁護士団体など30の団体による発足式も開かれた。委員会のイム・スンへ共同委員長によると、「一般市民の集団的知性を集めてフェイクニュースを申告し、検証するプラットホーム」で「現在、発起人を募集中。来年2月にモバイルサービスを開始することが目標」だという。
こんな動きまで出ている現状を見れば、韓国でフェイクニュースがいかに問題になっているかがわかるだろう。
その深刻度を示す興味深い報告書もある。
韓国言論振興財団が20~50代の成人1084人を対象に行った調査結果「一般国民のフェイクニュースに関する認識」(2017年3月)だ。
同報告書によると、回答者の32.3%がフェイクニュースと判断できる報道に触れた経験があり、30代(34.1%)、20代(37%)と若い世代ほどその経験が多かった。
そしてフェイクニュースに触れた“経路”を見ると、やはり「インターネット」(76.3%)が圧倒的だ。