登壇した同社CEOのイ・サンホン氏は、「日本のコンテンツに世界的なニーズがあるにも関わらず、日本のユーチューバーには海外のファンが圧倒的に少ない」と指摘。映像の長さを問わず24時間以内に翻訳を完了し、アップロードなども行う動画コンテンツのグローバル化サービス「JAMAKE」(ジャメイク)を提案した。韓国では、「JAMAKE」を活用して3カ月でチャンネル登録者数が5000人から40万人に急増したというユーザーの実例もあるという。
また、(株)mLabは自社独自の動画プラットフォームmSTUV(エムスタブ)を披露して目を引いた。
mSTUV(エムスタブ)は、映像の中の情報が一目でわかる画期的なプラットフォーム。ユーチューブをはじめとした既存のそれと異なり、動画を見ながら出演者の身に着けたアイテム、訪れた施設などを実際に購入・予約することができる独自のサービスだ。現在はこの技術を基に九州の自治体と連携した“観光ビデオサービス”を提案中だという。
そのほかにも、VRと人工知能(AI)を導入した英会話学習ツール、イベント運営の効率化を図る低コストアプリなど、多種多様なコンテンツが発表された。
続くパネル討論会には、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の中村伊知哉教授、ココネ株式会社のチョン・ヤンヒョン取締役社長が登壇した。
中村氏は韓国スタートアップ企業と日本市場の現状について「今回発表されたコンテンツはどれも魅力的。日本視点でいうと、日韓ならではのビジネスチャンスだ」と伝え、韓国のコンテンツに対して意欲的な姿勢を見せた。
一方でチョン氏は、「時代の移り変わりによって要求性はどんどん変わる。顧客の潜在的なニーズの把握が重要になってくるだろう。短時間、低コストが本当に勝負になるのか、もう一度考えてみる必要がありそうだ」と慎重な意見を伝えた。
世界にファンを抱える日本の文化と、韓国企業が最先端技術を駆使してジョインするビジネスモデル。日韓協業のコンテンツ・ビジネスがグローバル市場にどのような影響を与えるのか、今後の動きに注目したい。
(文=姜 由奈)