大韓航空の客室乗務員が適切な応急措置で、子供の貴重な命を救って話題になっている。
8月23日、大韓航空によると、8月18日午後4時35分にソウル金浦空港を離れ、大阪へ向かった大韓航空KE739便ボーイング777-200は、目的地の空港に接近するまでいつもと同じように穏やかだった。
大阪空港に近づき、機長が着陸のための機内シグナルを作動させてから数分も経っていない午後5時50分頃、鋭い悲鳴が響き、静かだった機内は混乱に包まれた。
搭乗していた12歳の日本人の女の子が突然、呼吸困難を起こし、首をつかんでいた。隣に座っていた父親は驚き、女の子の口内の異物を取り除こうとし、母親は大声で泣きながら助けを求めた。
その声を聞いてすぐに席に駆けつけた乗務員は、乗客の状態を確認した。女の子は気道が塞がれて呼吸困難となり、顔は蒼白で、意識も徐々に薄れ始めていた。乗務員は応急措置を開始した。
応急措置はハイムリッヒ法。異物が気道に詰ったとき、救助者が患者の後に立って腕を患者の体幹中央に回し、拳などでヘソと剣状突起の間を強く突き上げて、異物を除去する方法だ。
しかし数回にわたる応急措置も虚しく、好転の兆しは見られなかった。女の子は呼吸が止まった状態で意識もなく、体はますます重くなっていった。状況発生直後、事務長は機内に医師がいるかどうかをアナウンスしたが、残念ながら当時の航空機には搭乗していなかった。
事務長は呼吸停止時間が長くなるにつれ、脳死や死亡の可能性が高まると判断した。そして女の子を思い切り持ち上げて、応急処置を続けた。5分が過ぎても女の子の呼吸は戻らなかった。30回以上の強い圧迫によって、応急処置を続ける乗務員の腕にはあざができはじめていた。
再び心肺蘇生法を試みようとした瞬間、女の子の胸部から空気が肺に入る音が小さく聞こえた。同時に鼻と口から「ふぅ」と音がし、患者の呼吸が戻り始めた。
女の子の呼吸が始まると、すぐに意識を取り戻せるように、機内の後ろの空き領域に彼女を寝かせた。女の子は乗務員の質問にうなずく反応を見せるなど、少しずつ回復した。乗務員が両親と口の中の異物を確認した結果、女の子の気道をふさいだのは抜けた奥歯だった。
事務長は運航乗務員を通じて車椅子を搭乗ゲートに待機させるなど、必要な措置を大阪支店に要請し、機内の空席の最も前方に乗客を座らせた。午後6時23分に着陸すると、女の子は支えなしに歩けるほど回復したが、すぐ病院の緊急治療室に案内した。
大韓航空の関係者は「約30分間の緊迫したなかで、KE739便の客室乗務員が貴重な命を守ることができたのは、乗客の安全のために機内で発生しうるさまざまな緊急事態に備えて着実に訓練を重ねてきた結果」と伝えた。
普段の訓練で体得した内容をもとに、患者の状態を迅速に把握し、適切な応急処置をとったからこそ患者の命を救うことができたという説明だ。
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大韓航空は、機内緊急時に客室乗務員が一糸乱れることなく、それぞれの役割を果たせるよう教育を徹底している。またすべての客室乗務員を対象に、年1回の定期安全教育を通じて応急処置、心肺蘇生法(CPR)、自動体外式除細動器(AED)の使用方法の実習など、救急に関する体系的な教育を実施している。
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