日本政府による輸出規制措置に触発され、韓国内で日本製品の“不買運動”が広がっている。
過去にもさまざまな政治的葛藤で、日本製品の不買運動は起こったことがある。しかし今回は、日本政府が韓国最高裁の徴用工判決に対する事実上の経済報復としての規制であるだけに、不買運動が激しくなる見通しだ。
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7月7日、韓国大統領府の掲示板には「日本の経済制裁に対する政府の報復措置を要求します」という請願が上がり、2万7000人が賛同した。またオンライン上では、不買運動の対象企業リストが急速に拡散している。
そのリストには、自動車、電子機器、衣類、ビール、コンビニなどなど、日常生活で簡単に接することができる製品が網羅された。
ソニー、パナソニック、ニコン、キヤノンなどの電子機器ブランドをはじめ、トヨタ、ホンダ、三菱などの自動車ブランド、ユニクロ、ABCマート、アシックス、デサント、無印良品などのファッションブランド、アサヒ、キリン、サッポロなどビールブランドなどが、不買運動の対象として挙げられた。
韓国ネットユーザーたちは不買運動を象徴する「ノー(NO)」というロゴを共有し、参加を促している。「NO」という英字の「O」は日の丸のデザインで、「ボイコット・ジャパン(BOYCOTT JAPAN)」「行かない」「買わない」というフレーズが一緒に書き込まれている。
不買運動が全方位に広がっている状況下で、流通業界は神経を尖らせている。すぐに大きな売り上げの変化はないが、今回の事態が長期化する場合、ブランドイメージに打撃を受ける可能性が高いからだ。
特に“不買企業”に挙げられたユニクロは、状況を注視している。ユニクロは、日本の株式会社ファーストリテイリングの傘下にある代表的な日本企業だ。ユニクロは数年前にも、旭日旗が登場した広告とTシャツで物議をかもしている。
ユニクロ側は今回の事態と関連し、言葉を選んだ。ユニクロの関係者は「不買運動と関連して話すことはない」と、具体的な言及を避けた。
日本本社が99.96%の株式を保有しているABCマートコリアも、「現在の状況を見守っている」とし、慎重な立場だ。
日本系コンビニの韓国ミニストップも、事態を静観している。韓国ミニストップは最近、大象(テサン)グループが保有株式をすべてイオングループに売却し、日本企業が株式の100%を保有することになった。
韓国ミニストップの関係者は「まだ目に見える売上減少などの変化はない」とし、「不買運動と関連して私たちができることがなく、ひとまず推移を見守っている」と述べた。
一方で、日本企業と誤解を受けて飛び火した企業もある。コンビニのセブンイレブンはボイコットリストに挙がったが、日本企業とは距離が遠い。セブンイレブンはアメリカのコンビニブランドで、株式の79.66%をロッテが保有している。
「日本製品を買わない」という不買運動に加えて、「日本旅行をやめよう」という声も大きくなっており、航空・旅行業界にも不安が高まる雰囲気だ。
実際に、本格的な休暇シーズンである7~9月に入ったが、航空会社と旅行代理店の実績改善期待値は、高くないと予測されている。7月7日、証券業界によると、格安航空会社(LCC)はすでに供給過剰な状況に加えて日韓両国の関係悪化が原因で、日本旅行の需要が急減すると予想した。
テシン証券ヤン・ジファン研究員は、「最近報道された韓国人のビザ発給強化措置は、“ノービザ入国を制限する”という措置なのか、“長期滞在のためのビザ発給条件を強化する”ということなのか未知数で、実現可能性は希薄だ」としながらも、「しかし両国関係の悪化が原因で、日本路線の回復は当分の間、期待しにくい」と述べた。
ケープ投資証券によれば、LCCはティーウェイ航空10カ所、チェジュ航空8カ所、ジンエアー6カ所などと、日本路線の割合が大きい。LCCは各社のシェア競争が激化し、平均運賃が昨年比0.9%ほど下落する見込みだ。
韓国を代表する旅行会社ハナツアーとモドゥツアーの株価も、不安定な状況にある。
日本の輸出規制が実施された7月4日、ハナツアーは一時株価が4万6850ウォン(約4685円)まで落ち、52週間安値を更新したりした。モドゥツアーも同日の株価が1万8700ウォン(約1870円)まで落ち、52週間安値を更新している。
不買運動の影響で多くの業界で緊張が続くが、むしろ恩恵を受けている韓国企業もある。